最新記事

朝鮮半島

文在寅「南北協力は対北朝鮮制裁措置を緩和する道開く」

2020年1月14日(火)17時12分

韓国の文在寅大統領(写真)は、米朝の非核化交渉の停滞を悲観する必要はないとし、北朝鮮はさらなる交渉への扉を閉じてはいないと述べた。写真は青瓦台(大統領府)での会見の様子。ソウルでの代表撮影(2020年/ロイター)

韓国の文在寅大統領は14日、米朝の非核化交渉の停滞を悲観する必要はないとし、北朝鮮はさらなる交渉への扉を閉じてはいないと述べた。また南北の協力が、対北朝鮮制裁緩和の道を開く可能性があると指摘した。

文大統領は青瓦台(大統領府)での会見で、トランプ米大統領が金正恩朝鮮労働党委員長に最近送付した書簡について、トランプ氏が北朝鮮との対話に取り組んでいることを示す良い兆候だと指摘。さらに、開かれた南北対話にも楽観的な見方を示した。

文大統領は「金委員長の誕生日を前に新たな挑発を懸念する見方も出ていたが、トランプ大統領は誕生日のメッセージを送って対話の意欲を強調した。これは非常に良い考えだった」と述べた。

韓国当局者は10日、トランプ氏から金委員長への誕生日メッセージを託されたと明らかにした。

しかし、北朝鮮は11日、トランプ氏からすでに直接書簡を受け取ったとする声明を発表。米朝関係に「干渉」しないよう韓国をけん制した。

声明の中で北朝鮮外務省当局者は、金委員長はトランプ氏に個人的に好感を抱いているが、感情で政策を決定することはないとも強調した。

文大統領は北朝鮮のこうした反応について、「北朝鮮は自らの要求が受け入れられれば交渉に復帰すると表明し、それによって対話の扉が閉ざされていないことを明確にした」との見方を示した。

そのうえで「米朝協議は現在活発ではないが、私はトランプ大統領と金委員長が互いを信頼し、努力を続けると考えている」と述べた。

文大統領は南北の経済協力の取り組み再開を目指しているが、米朝交渉の停滞に阻まれる格好となっている。

韓国が独自に北朝鮮との対話再開を目指す意向があるかとのロイターの質問に、大統領は、現状打開に向けた「新たなアイデア」を模索する必要があると指摘。

「南北協力を可能な限り拡大すれば、米朝対話の早期実現のみならず、必要なら制裁の一部撤回ないし免除について国際的支持を得ることが可能になるだろう」と述べた。

文大統領は、制裁に阻まれることなく南北がとれる措置があると指摘。軍事境界線をはさんだ地域での協力、個人の観光再開を挙げた。さらに、今夏の東京五輪に共同チームとして参加することや、2032年五輪開催に共同で立候補するという案もあると述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200121issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月21日号(1月15日発売)は「米イラン危機:戦争は起きるのか」特集。ソレイマニ司令官殺害で極限まで高まった米・イランの緊張。武力衝突に拡大する可能性はあるのか? 次の展開を読む。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国中銀、ウォン安など金融安定リスクへの警戒必要=

ビジネス

米国との貿易協定、来年早々にも署名の可能性=インド

ビジネス

26年度予算案の想定金利3%程度で調整、29年ぶり

ワールド

メルセデス、ディーゼル排ガス不正で米州と和解 1.
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 6
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中