最新記事

事件

ゴーン被告の国際手配書をレバノン当局が受領 出頭命じるか不明

2020年1月3日(金)10時00分

会社法違反(特別背任)などで起訴され保釈中にレバノンに逃亡した日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告を巡り、レバノン当局が、国際刑事警察機構(ICPO)から国際手配書を受領したことが判明した。写真は東京で昨年4月に撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

会社法違反(特別背任)などで起訴され保釈中にレバノンに逃亡した日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告を巡り、レバノン当局が2日、国際刑事警察機構(ICPO)から国際手配書を受領したことが判明した。

レバノンの司法関係者はロイターに対し、当局が受領したのはゴーン被告の身柄拘束を求める「赤手配書」だとした上で、過去のケースでは赤手配書で身柄は拘束されないものの、旅券(パスポート)が押収されたり保釈決定が行われたりすると明かした。

また別の公安当局者はゴーン被告に事情聴取のための出頭命令が行われるかは不明だが、レバノン政府は自国民を海外に引き渡すことはないとした。

レバノンのサーブ暫定防衛相は地元メディアのMTVに対し、ゴーン被告の日本出国にレバノンは公的に関与していないと述べた。

こうした中、ゴーン被告は声明を出し、自身の逃亡に妻のキャロルさんや家族が関与していると報じられているが、不正確で誤った憶測にすぎないとし、「自分1人で出国の手配をした」と主張した。

ゴーン被告の海外逃亡を巡っては、旅券を弁護士に預けた状態でどのように行われたかが焦点になっているが、NHKはゴーン被告がフランスから2通のパスポートの発行を受けており、このうち1通を裁判所の許可を得て、鍵が付いたケースに入れて携帯していたと報じた。

またトルコ警察の報道官によると、ゴーン被告の逃亡に関連し、パイロット4人を含む7人の身柄が警察当局によって拘束された。ゴーン被告は、プライベートジェット機でトルコのイスタンブールを経由してレバノンのベイルートに入ったとされ、トルコ内務省が調査に乗り出していた。

複数の関係筋によると、ゴーン被告は裁判の1つが2021年4月まで延期されると知ったことをきっかけに出国に踏み切ったという。

関係筋の1人は、妻のキャロルさんと会うことも話すこともできないことに被告は心を痛めていたと話した。クリスマスにもキャロルさんと会うか、もしくは話すことを求めたが、保釈条件に基づき拒否されたという。

ゴーン被告はさらに、日本の検察当局が12月上旬に米国で被告の娘と息子から話を聞いたと知り、自白を引き出すよう当局が家族に圧力を掛けていると心を痛めるようになったという。

*内容を追加しました。

[ベイルート/東京/イスタンブール ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



2019123120200107issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2019年12月31日/2020年1月7日号(12月24日発売)は「ISSUES 2020」特集。米大統領選トランプ再選の可能性、「見えない」日本外交の処方箋、中国・インド経済の急成長の終焉など、12の論点から無秩序化する世界を読み解く年末の大合併号です。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インド、パキスタンによる国境全域での攻撃発表 パキ

ビジネス

日経平均は続伸、米英貿易合意や円安を好感 TOPI

ビジネス

日本製鉄、今期純利益は42%減の見通し 市場予想比

ビジネス

リクルートHD、今期10%増益予想 米国など求人需
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 8
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 9
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 10
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中