最新記事

中国

「空白の8時間」は何を意味するのか?──習近平の保身が招くパンデミック

2020年1月27日(月)12時15分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

中国で新型コロナウイルス肺炎が拡大 Martin Pollard-REUTERS

武漢市の封鎖は1月23日10時から始まったが、通告時刻は同日午前2時5分。その間数十万の武漢市民が脱出した。なぜこの時間的ゆとりを与えたのか?解答を追いかけていくうちに、とんでもないことが判明した。

武漢市の封鎖通告時刻と実行とのずれ

「武漢市新型コロナウイルス感染による肺炎流行予防制御指揮部」は、1月23日午前2時5分に武漢人民政府の名において、「市新型コロナウイルス感染による肺炎流行予防制御指揮部(第1号)」を発布した。「長江日報」は中国共産党武漢市委員会の機関紙なので、そのウェイボー(weibo)は権威ある発表となる。但しweiboはこの情報を見た場所の時差を調整して表示するので、1時間の時差がある日本時間「03:05」と表示されている。

念のため、以下に現地時間のweibo情報を貼り付けておこう。

endo20200127105801.jpg

また、「武漢市人民政府」のHPの通告もご紹介しておく。何れの場合も、通告内容は以下の通りである。


新型コロナウイルス感染による肺炎の流行を防御することを全面的に遂行し、効果的にウイルスの伝染経路を遮断し、疫病の蔓延を断固阻止し、人民群衆の生命安全と健康を確保するために、ここに以下のことを通告する:

2020年1月23日10時を以て、全市のバス、地下鉄、フェリーボート、長距離旅客輸送を含む公共交通を全て、暫定的に停止する。特殊な原因がない限り、市民は武漢を離れてはならない。武漢から外部に移動する飛行場や列車の駅は暫時封鎖する。いつごろ回復するかは追って通知する。

広大なる市民と旅客の理解と協力を求める!

この通知は22日の夜中、正確には23日の午前2時5分に発布されているので、「封鎖実行」と「封鎖予告」の間には約「8時間」のゆとりがあることになる。

それを証明するかのように、中国政府の通信社である新華社通信の電子版「新華網」も23日の午前「03:15:55」に通告を発布している。こちらには「街の掲示板」による通告も載っている。また、これはweiboではないので、現地で発表された時間(転載された時間)がそのまま表示されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

GMメキシコ工場で生産を数週間停止、人気のピックア

ビジネス

米財政収支、6月は270億ドルの黒字 関税収入は過

ワールド

ロシア外相が北朝鮮訪問、13日に外相会談

ビジネス

アングル:スイスの高級腕時計店も苦境、トランプ関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「裏庭」で叶えた両親、「圧巻の出来栄え」にSNSでは称賛の声
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 5
    セーターから自動車まで「すべての業界」に影響? 日…
  • 6
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    『イカゲーム』の次はコレ...「デスゲーム」好き必見…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    日本人は本当に「無宗教」なのか?...「灯台下暗し」…
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 6
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 7
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 8
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中