最新記事

イスラム国

イラクで再結成したイスラム国が前よりずっと強い!?

ISIS Militants In Iraq Are Like 'Al-Qaeda On Steroids':Kurdish Official

2019年12月24日(火)18時05分
ジェイソン・レモン

イラクの町アルアラムで壁に描かれたISの旗の前に立つISの民兵(2015年3月)。この後、ISはイラク軍によって町から追い出された Thaier Al-Sudani -REUTERS

<トランプ政権やイラク政府は2年前にテロ組織イスラム国(IS)に対する勝利を宣言したが、ISは再び、より強く、より洗練された技術をもつ組織として復活しようとしている>

クルド人の情報機関および軍関係者はテロ組織IS(イスラム国)がイラクで再編成を始めていると警告する。ある当局者はこの新組織を「筋肉増強したアルカイダ」と呼ぶ。

「この新組織は技術的、戦術的に進化しており、自由に使える資金もはるかに多い」と、クルド人組織でテロ対策の責任者を務めるラフール・タラバニーは、BBCの番組で新組織について語った。「車両、武器、食料、装備、何でも買うことができる。技術的にもはるかに洗練されている。連中を追いだすのは、以前より難しくなっている。まるでステロイドで筋肉を増強したアルカイダだ」

ドナルド・トランプは批判の多いシリアからの米軍撤退を正当化するため、ISは完全に掃討したと繰り返し主張してきた。

しかし、米軍はまだ警戒を緩めていない。中東と中央アジアの米軍部隊を指揮下におくアメリカ中央軍のケネス・マッキンジー司令官は11月、地域の安定化をはかり、ISと闘うクルド人主導のシリア民主軍を支援するために、500人の米軍部隊がシリア北東部に残るだろうと記者団に語った。

警告されていた復活

トランプが10月に発表したシリアからの米軍撤退は、民主・共和両党の議員から激しく批判された。そこでトランプは、ISは「決定的な」敗北を喫したと主張することで、自らの決断を擁護した。

アメリカはもう「あらゆる相手を打ち負かす」ことを望まないとトランプは主張し、その役目は地域の大国が負うべきだと論じた(軍関係者の専門紙ミリタリータイムズによると、現在、アメリカはイラク政府と合意の上で、5000人以上の部隊をイラクに駐留させている)。

一方、アメリカ中央軍の広報担当者ジョン・リグスビー陸軍少佐は、「アメリカが望むのは、イラクが暴力的な過激派グループやイラクの安定を損なおうとする人々から自らを守ることができる、安定し独立した国となり、最終的に豊かになることだ」と、本誌に語った。

「米軍は、イラクの人々がこれらの目的を達成するための支援に全力で取り組んでいる。国防総省は、ISを打倒する任務を支援するために、より広範な連合の一部としてのイラク治安部隊に助言と支援を引き続き提供することを確約する」

2017年12月、当時のイラク首相ハイダル・アバーディは、イラク国内のISに対する勝利を宣言した。だが、西側と中東の情報機関関係者はその後も、イラクとシリアでISが再び勢力を取り戻す可能性があることを繰り返し警告してきたのだ。

<参考記事>バグダディを追い詰めた IS被害女性ケーラ・ミュラーの悲劇
<参考記事>「ゴースト」「ドイツの椅子」......ISISが好んだ7種の拷問

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送-UAEのアブダビで5人負傷、火災も発生 ミサ

ワールド

タイ新政権、来週発足へ アヌティン首相が表明 

ビジネス

中国の大手国有銀3行、25年の利益ほぼ横ばい 不動

ワールド

イエメンからミサイル発射、イスラエル軍発表 フーシ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊張緩和の兆しか
  • 3
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?...「単なるホラー作品とは違う」「あの大作も顔負け」
  • 4
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 5
    ウィリアム皇太子が軍服姿で部隊訪問...「前線任務」…
  • 6
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRAN…
  • 7
    日本経済にとって、円高/円安はどちらが「お得」な…
  • 8
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 9
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 10
    ニュースでよく聞く「東京外国為替市場」は、実際は…
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 7
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 8
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 9
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中