最新記事

中国

習近平を国賓として招聘すべきではない――尖閣諸島問題

2019年12月13日(金)12時22分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

中国はアメリカから制裁を受けると、必ず日本に微笑みかける。これは中国の常套手段だ。ここまで明らかな中国の術策に、まんまと嵌る安倍政権に警告を発し続けてきた。

今回は、海上保安庁のHPにある「尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向と我が国の対処」から、以下のグラフを基に、「習近平国賓招聘反対」を表明したい。

以下に示すのは、「接続水域内で確認した中国公船の隻数(延隻数/月)(青色の折れ線)と「領海に侵入した中国公船の延隻数/月」(赤色の棒線)を表したものである。

endochart2.jpg
図2:尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向と我が国の対処

当該HPの説明にもあるように、2008年からプロットし始めているのは、「2008年5月7日、日本を公式訪問した胡錦濤国家主席と福田康夫総理(肩書きはいずれも当時)が、「今や日中両国が、アジア太平洋地域及び世界の平和、安定、発展に対し大きな影響力を有し、厳粛な責任を負っているとの認識で一致した」というのに、その半年後の同年12月8日に、中国公船が初めて尖閣諸島周辺の我が国領海内に侵入したからだ。

胡錦涛-福田康夫両氏が交わした約束の言葉と、安倍首相が記者会見で言った言葉を比べて欲しい。

胡-福田:「今や日中両国が、アジア太平洋地域及び世界の平和、安定、発展に対し大きな影響力を有し、厳粛な責任を負っているとの認識」で一致した。

安倍首相:日中両国はですね、アジアや世界の平和、安定、繁栄に共に大きな責任を有しています。

笑ってしまうくらいに、そっくりではないか!

つまり、このような認識を「言葉」で共有してみたところで、絵に描いた餅、空理空論!

実際の行動は伴っていないどころか、全く、その逆なのである。

事実、海上保安庁HPの説明にあるように、「2010年9月7日の尖閣諸島周辺の我が国領海内での中国漁船衝突事件以降は、中国公船が従来以上の頻度で尖閣諸島周辺海域を航行するようになった」。

この2010年というのは、中国のGDP規模が日本のGDP規模を超えた年である。すなわち、図1に示したように、日本が対中経済封鎖を解除してあげたことによって中国経済は急激に成長し、その結果、日本のGDPを2010年に超えた。

図2を見れば歴然としているが、2010年前後に、経済的に強くなった中国は日本を見下し、言葉とは裏腹に日本国の領土である尖閣諸島周辺を侵犯し始めるのである。

2012年に、いわゆる尖閣諸島の「国有化」が成されたことを口実に、中国の尖閣諸島の領海・接続水域への侵入は絶えたことがない。

今では中央テレビ局CCTVでは、毎日、毎時間、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の天気予報を「中国の領土領海の天気予報」として流し続けている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

核保有国の軍拡で世界は新たな脅威の時代に、国際平和

ワールド

米政権、スペースXとの契約見直し トランプ・マスク

ワールド

インド機墜落事故、米当局が現地調査 遺体身元確認作

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、円安で買い優勢 前週末の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中