最新記事

海外ドラマ

ヘレン・ミレンの次のはまり役は最強の女帝エカテリーナ

The Sexually Liberated Empress

2019年11月16日(土)11時30分
サミュエル・スペンサー

10月にロサンゼルスで開催されたドラマのプレミアに登場したミレン Mario Anzuoni-REUTERS

<ロシア黄金期を築いた女性の、性と知性と権力欲を主演のミレンが語る>

イギリス最高の女優の1人とされるヘレン・ミレンだが、その本名はヘレン・ミロノフ。実は半分、ロシアの血が流れている。

HBOで10月21日から始まった新ドラマシリーズ『エカテリーナ大帝』で、ロシア史上最長の在位を誇る最も有名な女帝エカテリーナ2世の役をミレンが引き受けたのも、その血筋が理由の1つだ。

出演のきっかけは、ほぼ偶然だった。ロンドンで開催された同シリーズのワールドプレミアで、彼女はこう語っている。「あるインタビューの最後で、次はどんな役をやりたいかとお決まりの質問があった。直前まで何も考えていなかったのに、突然ひらめいて、『女帝エカテリーナなんて面白そう』と言ったの。思い付きだったけれど、ドラマの制作陣は聞いていたのね」

かくしてミレンは4部構成のドラマでこの女帝を演じることに。エカテリーナについて調べるうち、ミレンはこの役と恋に落ちたという。役作りの秘訣は「人物を調べ、目をのぞき込み、理解すること」と本誌に語る。「エカテリーナについては、数多くの手紙が残っていたので幸運だった。文章は素晴らしく、読みやすくて面白かった」

エカテリーナが手紙で愛人たちとの関係を赤裸々につづっていたことは、ミレンには衝撃的だったという。「1960年代の性革命も経験し、自由な女性を自任している私でも、エカテリーナの解放的な性を理解するのは難しかった。『男だったら何の問題もないはず。男か、王か、皇帝のように考えなければ』と自分に言い聞かせて、ようやく理解できるようになった」

エカテリーナの性生活は権力への渇望の一部だったと、ミレンは言う。「彼女は権力を欲し、誰とも分かち合おうとしなかった。早くから結婚の危険性を知っていた」

女性の持つ能力と可能性

エカテリーナはピョートル3世と結婚したが、その結婚は彼女がクーデターで夫から権力を奪う形で終わった。ピョートル3世は退位のわずか数日後に死去しているが、エカテリーナが暗殺を命じたとする説も残る。

ドラマはクーデター後の物語から始まるが、ミレンはエカテリーナがクーデターで果たした役割も、彼女を理解する上で重要な手掛かりになると指摘する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

デンマーク、女性も徴兵対象に 安全保障懸念高まり防

ワールド

米上院可決の税制・歳出法案は再生エネに逆風、消費者

ワールド

HSBC、来年までの金価格予想引き上げ リスク増と

ビジネス

焦点:税収増も給付財源得られず、頼みは「土台増」 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中