最新記事

北朝鮮

北朝鮮、安倍晋三を「愚かで性悪」と罵倒 外交でも「日本は排除する」

North Korea Mocks Japan Rocket Test Reply: As if a Nuclear Bomb Was Dropped

2019年11月8日(金)14時30分
トム・オコナー

タイのバンコクで開かれたASEAN関連首脳会議に出席する安倍晋三首相(11月4日) Chalinee Thirasupa-REUTERS

<北朝鮮は「史上初めてアメリカの大統領と直通電話でつながり」、ロシア、中国とも首脳会談を行っている。のけ者にされているのは日本のほうだ>

北朝鮮外務省の宋日昊・日朝国交正常化担当大使は11月7日、北朝鮮が10月31日に実施した飛翔体発射実験を日本が非難したことについての談話を発表。安倍晋三総理大臣を侮辱し、日本が原爆投下を受けた痛ましい過去を連想させる言葉を並べた。

国営朝鮮中央通信を通じて発表した談話の中で宋は、4日にタイで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、安倍が北朝鮮の「超大型多連装ロケット砲」を非難し、北朝鮮による短距離弾道ミサイルの発射は国連安保理の決議違反だとしたことに反発。ミサイル発射は自衛のための正当な措置だと主張した。

談話の中で宋は、「我が国の超大型多連装ロケット砲の発射実験について、まるで核爆弾が日本の領土に落ちたかのように騒ぎ立てている安倍総理は、愚かで性悪だ」と主張。安倍は「卑劣な政治家」であり「多連装ロケット砲とミサイルの区別もつかないのに日本の軍事大国化を夢見ている、まれに見る無知」だと批判した。

宋はさらに、「奇形」「卑劣」「不道徳」「チビで不格好」だと安倍をこき下ろし、日本を「政治的に(取るに足らない)小さな国」、「沈みつつある島国」で「希望のない荒廃した国」と見なし、北朝鮮の新時代の外交からは日本は排除されていると主張した。

<参考記事>韓国通貨危機の裏側を赤裸々に暴く 『国家が破産する日』
<参考記事>日朝戦争なら韓国は北朝鮮の味方、日本はいつの間にか四面楚歌?

非核化めぐる交渉で日本は蚊帳の外

日本は1910年から1945年まで35年にわたって朝鮮半島を統治していた過去がある。その後、冷戦時代にアメリカとソ連が奪い合うかたちで、朝鮮半島は北朝鮮と韓国に分断された。以降、日本はアメリカと韓国と共に同盟関係を維持してきたが、ここへきて日韓関係は急速に悪化。北朝鮮も、対日批判をますますエスカレートさせている。

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、アメリカのドナルド・トランプ大統領、韓国の文在寅大統領、中国の習近平国家主席やロシアのウラジーミル・プーチン大統領と、1年半前から朝鮮半島の非核化をめぐる交渉を続けているが、安倍はこの交渉の舞台に上がれず「のけ者」にされている。2019年に入って、安倍は金と「一切の条件をつけずに」会って拉致問題の解決に取り組む決意を宣言。だがこれまでのところ、ほとんど進展はみられない。

「北朝鮮に行動を促すにはどうするかを考えて、再び日朝間の交渉の扉を開かなければならない」と、日本の外務省のある当局者は最近、本誌に語った。「史上初めて、アメリカの大統領と直通電話でつながっている北朝鮮の指導者にとって、日本との交渉を急ぐ理由はなくなった」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中関税合意、中国内に懐疑的見方 国営メディアが評

ワールド

ハマス、イスラエル系米国人の人質を解放 イスラエル

ビジネス

JPモルガン、中国GDP予想を上方修正 対米関税引

ビジネス

FRB政策対応の必要性低下、米中関税引き下げで=ク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 3
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王子との微笑ましい瞬間が拡散
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 6
    「出直し」韓国大統領選で、与党の候補者選びが大分…
  • 7
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 8
    「がっかり」「私なら別れる」...マラソン大会で恋人…
  • 9
    ロシア艦船用レーダーシステム「ザスロン」に、ウク…
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 10
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中