最新記事

朝鮮半島

北朝鮮発射のミサイル、潜水艦発射式弾道ミサイルの可能性

2019年10月2日(水)12時24分

韓国青瓦台(大統領府)は、北朝鮮による同日のミサイル発射について、潜水艦発射式弾道ミサイル(SLBM)実験の可能性があるとみて検証していると明らかにした。提供写真(2019年 ロイター/KCNA)

日本政府当局者と韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は2日、飛翔体を発射した。

韓国青瓦台(大統領府)は、潜水艦発射式弾道ミサイル(SLBM)実験の可能性があるとみて検証していると明らかにした。

韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が2日朝に江原道の元山付近から東の海上に向けて飛翔体1発を発射したと表明。

ミサイルは450キロ飛行し、高度910キロに達した。「北極星」系列のミサイルとみられるという。

青瓦台の声明によると、国家安全保障会議(NSC)は北朝鮮が米国との実務レベルの協議再開を5日に控えてミサイルを発射したことに強い懸念を示した。

一方、菅義偉官房長官は2日朝、北朝鮮が弾道ミサイルを2発発射し、このうち1発が島根県沖の日本の排他的経済水域内に落下したとみられると述べた。

菅官房長官によると、1発は同日午前7時17分ごろ、日本の排他的経済水域外に落下。もう1発は午前7時27分ごろ、島根県沖の日本海上、日本の排他的経済水域内に落下した。

菅官房長官はその後、北朝鮮の弾道ミサイルは1発で、2つに分離した可能性があると述べた。

河野太郎防衛相は、北朝鮮が発射したミサイルについて、SLBMと「断定するには至っていない」と述べた。

通常よりも角度をつけて高く飛ばす「ロフテッド軌道」で発射したとし、関連情報を分析中だという。

安倍晋三首相は、国連決議に違反するとした上で、厳重に抗議し、非難すると語った。

現時点で被害の情報は入っていない。

海上保安庁は、北朝鮮からミサイルが発射されたとみられるとし、船舶に対し、今後の情報に留意するとともに、落下物を認めた場合は近づくことなく通報するよう呼び掛けた。

米政府高官は匿名を条件に「北朝鮮がミサイルを発射した可能性があるとの報道を承知している。引き続き情勢を注視し、地域の同盟国と緊密に連絡を取っている」と述べた。

北朝鮮によるミサイル発射は、米朝首脳が南北軍事境界線で会談した6月30日以降9回目。

北朝鮮は1日、米国と実務レベルの協議を10月5日に開催することで合意したと発表していた。

タフツ大学フレッチャースクールのLee Sung-yoon教授は「北朝鮮はこれまで米国に対し、あめとむちの戦略を何度も取り、成功してきた」と指摘した。

*内容を追加しました。

[ソウル 2日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます




20191008issue_cover200.jpg
※10月8日号(10月1日発売)は、「消費増税からマネーを守る 経済超入門」特集。消費税率アップで経済は悪化する? 年金減額で未来の暮らしはどうなる? 賃貸、分譲、戸建て......住宅に正解はある? 投資はそもそも万人がすべきもの? キャッシュレスはどう利用するのが正しい? 増税の今だからこそ知っておきたい経済知識を得られる特集です。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米中小企業、26年業績改善に楽観的 74%が増収見

ビジネス

米エヌビディア、株価7%変動も 決算発表に市場注目

ビジネス

インフレ・雇用両面に圧力、今後の指標に方向性期待=

ビジネス

米製造業新規受注、8月は前月比1.4%増 予想と一
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中