最新記事

日本政治

第4次改造安倍内閣、小泉進次郎など初入閣13人 後継意識し憲法改正へ側近重用

2019年9月11日(水)18時50分

安倍晋三首相が行った内閣改造は、麻生太郎副総理兼財務・金融担当相と菅官房長官を留任させて政権の骨格を維持する一方、環境相に小泉進次郎元復興政務官(写真)を起用するなど、後継の育成も意識した布陣となった。首相官邸で撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

安倍晋三首相が11日に行った内閣改造は、麻生太郎副総理兼財務・金融担当相と菅官房長官を留任させて政権の骨格を維持する一方、環境相に小泉進次郎元復興政務官を起用するなど、後継の育成も意識した布陣となった。初入閣は13人。側近を重用し、党・内閣一体で憲法改正に向かう態勢を整えたかたちだ。

今回の改造の目玉とも言えるのが環境相への小泉氏起用だが、ほかに「ポスト安倍」と目される茂木敏充経済財政・再生相を外相に、河野太郎外相を防衛相にそれぞれ横滑りさせた。また、加藤勝信自民総務会長が再び厚労相として入閣。自民党役員人事でも、岸田文雄政調会長を続投させている。

全閣僚19人のうち、初入閣は13人で第2次安倍政権発足以降で最多。りそな銀行のアセットマネジメント部チーフ・エコノミストの黒瀬浩一氏は、初入閣が多く、「世代交代に向けた動きとも読めるが、これだけ長期政権化すると、ひずみも大きくなってくる。次の世代が担う課題は大きくなりそう」と指摘する。
後継育成の一方で、側近の重用も目立つ。首相に近い萩生田光一自民党幹事長代行を文部科学相に起用したほか、経済財政・再生相の後任には西村康稔官房副長官を充てた。

女性閣僚については、改造前から1人増やし、高市早苗元総務相を総務相に再起用するほか、橋本聖子前参院議員会長を五輪・女性活躍担当相に充てる。

新内閣は皇居での認証式を経て、正式に発足する。菅官房長官によると、安倍首相の記者会見は午後6時、初閣議は6時45分にそれぞれ行われる予定。

二階氏、改憲へ「党を挙げて努力」

自民党は、同日午前に臨時総務会を開き、二階俊博幹事長、岸田文雄政務調査会長ら新役員人事を正式に了承した。

二階・岸田両氏は留任。総務会長に鈴木俊一・五輪相、選挙対策委員長に下村博文氏をそれぞれ起用する。

森山裕国会対策委員長の再任が決まったほか、参院幹事長には世耕弘成経済産業相を、幹事長代行には稲田朋美筆頭副幹事長を充てる。

党本部で記者会見に臨んだ二階幹事長は、2021年9月に任期を迎える安倍首相の党総裁連続4選に関し、「安倍総裁が決意を固めたら、おそらく国民の意向に沿う形で党を挙げて支援したい」との考えを示した。

安倍首相が意欲を示す憲法改正に関しては「総裁の意向に沿って、党を挙げて憲法改正に向けて努力を重ねていきたい」とした。

立教大学教授(社会学)の砂川浩慶氏は憲法改正について、「現実的には難しく、1度国民投票で否決されてしまえば二度と議論できなくなる可能性がある。このため憲法改正は衆院解散とセットで、来年のいずれかの時期になるのではないか」と指摘した。

[東京 11日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20190917issue_cover200.jpg
※9月17日号(9月10日発売)は、「顔認証の最前線」特集。生活を安全で便利にする新ツールか、独裁政権の道具か――。日常生活からビジネス、安全保障まで、日本人が知らない顔認証技術のメリットとリスクを徹底レポート。顔認証の最先端を行く中国の語られざる側面も明かす。



ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本のCEO
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月1日号(6月24日発売)は「世界が尊敬する日本のCEO」特集。不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者……その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB議長、利下げ急がずと再表明 「関税の影響見極

ビジネス

情報BOX:パウエル米FRB議長の議会証言要旨

ワールド

トランプ氏「停戦は発効」、違反でイラン以上にイスラ

ワールド

ガザの食料「兵器化」、戦争犯罪に該当 国連が主張
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり得ない!」と投稿された写真にSNSで怒り爆発
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 6
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 7
    EU、医療機器入札から中国企業を排除へ...「国際調達…
  • 8
    細道しか歩かない...10歳ダックスの「こだわり散歩」…
  • 9
    「イラつく」「飛び降りたくなる」遅延する飛行機、…
  • 10
    「水面付近に大群」「1匹でもパニックなのに...」カ…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 10
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中