最新記事

生物

月面衝突した探査機に残されたクマムシが月で生き延びている?

2019年8月8日(木)18時30分
松岡由希子

クマムシが月で生息している可能性がある Ralph O. Schill/European Space Agency

<民間の無人月面探査機「ベレシート」は、月面着陸を試み月面に衝突したが、乗せられていたクマムシが月で生息している可能性があることがわかった......>

イスラエルの民間宇宙団体「スペースIL」によって打ち上げられた無人月面探査機「ベレシート」は、2019年4月11日、民間初の月面着陸に失敗し、月面に衝突した。

しかしこのほど、「ベレシート」に"搭乗"していたクマムシ(緩歩動物)が月で生息している可能性があることがわかり、話題となっている。

無人月面探査機「ベレシート」


無人月面探査機「ベレシート」にヒトのDNAサンプルとクマムシが......

「ベレシート」には、人類の知識や地球上の生物の時空を超えたアーカイブ化に取り組む米国の非営利団体「アーチミッション財団」が制作した「アーチルナーライブラリ」とともに、ヒトのDNAサンプルとクマムシが乗せられていた。

「アーチルナーライブラリ」は、薄さ40ミクロンのニッケルディスク25枚で構成され、英語版ウィキペディアのデータや、フィクション、ノンフィクション、教科書、技術書などの書籍をPDF形式に変換したデータ、5000言語の翻訳データなど、人類の歴史や文明にまつわる3000万ページ相当のコンテンツが保存されている。また、ニッケルディスクの隙間にはエポキシ樹脂の層が埋め込まれ、25名から採取した毛嚢と血液のサンプルと、乾眠状態のクマムシが収められた。

RTX6IWL1.jpg

「ベレシート」 に積み込まれた REUTERS/Amir Cohen

「ベレシート」の月面衝突は、衝突から11日後の4月22日、アメリカ航空宇宙局(NASA)の月周回無人衛星「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」から撮影された画像でも確認されている。

content_beresheetimpact_after_box.jpg

「ベレシート」の月面衝突した跡 Credits: NASA/GSFC/Arizona State University

「ベレシート」が月面に衝突した時の速度は毎秒およそ1000メートルであったが、「アーチミッション財団」の科学顧問チームがこの画像を分析したところ、「アーチルナーライブラリ」は「ベレシート」の月面衝突にも耐え、損傷を免れたとみられている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

スウェーデン中銀、政策金利据え置き 「今後も維持」

ビジネス

スイス中銀、0.25%利下げ 世界経済とインフレの

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き トランプ関税の影響見極

ビジネス

米との貿易戦争、ユーロ圏のインフレ率上昇し成長は減
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平
特集:2025年の大谷翔平
2025年3月25日号(3/18発売)

連覇を目指し、初の東京ドーム開幕戦に臨むドジャース。「二刀流」復帰の大谷とチームをアメリカはこうみる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研究】
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 6
    「気づいたら仰向けに倒れてた...」これが音響兵器「…
  • 7
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 8
    ローマ人は「鉛汚染」でIQを低下させてしまった...考…
  • 9
    医師の常識──風邪は薬で治らない? 咳を和らげるスー…
  • 10
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研究】
  • 4
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ…
  • 10
    「気づいたら仰向けに倒れてた...」これが音響兵器「…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中