最新記事

視覚実験

カラー写真?......どうしてモノクロ画像がカラーに見えるの?

2019年8月1日(木)18時30分
松岡由希子

<デジタルメディアアーティストが、モノクロ画像に彩度の高い色でグリッド線を加えると、カラー画像に見えるという"視覚トリック"を公表した......>

各々のパソコンに向かう学生たちの姿を写したこの画像に、どこか違和感はないだろうか。この画像は、実はモノクロだ。じっくり見てみると、赤、青、オレンジのカラフルなグリッド線をモノクロ画像に加えたものだということがわかる。

この画像は、デジタルメディアアーティストでソフトウェア開発者でもあるオルヴィン・コーロス氏が、自身の視覚実験プロジェクト「カラー・アシミレイション・グリッド・イリュージョン」の一環で制作したもの。

モノクロ画像に彩度の高い色でグリッド線を加えると、カラー画像に見えるという"視覚トリック"だ。コーロス氏は、2019年7月29日、色のグリッド線をモノクロ画像にかぶせるためのプログラムを公開している。

では、このモノクロ画像がカラー画像に見えるのは、なぜなのだろうか。豪シドニー大学のバート・アンダーソン教授は、科学ニュースメディア「サイエンスアラート」の取材において、「この色彩システムは『ローパス』と呼ばれるもので、色を符号化する受容野が非常に大きい。それゆえ、カラフルなグリッド線がモノクロの背景と平均化され、画像の一部となる」と解説する。つまり、ヒトの脳は、対象物を見るとき、視覚情報を圧縮し、対象物をじっくり見る時間をとらなくてもその対象物の大まかな印象を得られる仕組みとなっているのだ。

コーロス氏が様々なパターンを試行した結果、グリッド線が最も効果的であることがわかった。カラフルなドットでもこの視覚トリックが可能だ。

sc-dot-grid.png

また、線と線との間を狭くすることで、一本線でも、同様の効果がある。

sc-lines.png

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国人民銀、成長支援へ金融政策を調整 通貨の安定維

ビジネス

スイス中銀、リオ・ティント株売却 資源採取産業から

ワールド

ドイツ外相の中国訪問延期、会談の調整つかず

ビジネス

ヘッジファンド、AI関連株投資が16年以来の高水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 2
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼稚園をロシアが攻撃 「惨劇の様子」を捉えた映像が話題に
  • 3
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 4
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 8
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 9
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 10
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 10
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中