最新記事

ドイツ政治

ドイツ大政党を揺るがすユーチューバーの乱

German Politics Discovers YouTube

2019年7月5日(金)15時30分
ペーター・クラス

アンネグレート・クランプカレンバウアー党首は投票日後にツイッターで、選挙期間中はネット上で強い影響力を持つ人物の言論に一定のルールを導入すべきだと示唆した。「民主主義社会で言論の自由は宝石のような価値があるが、選挙の際に適用されるルールについて、私たちは話をしなければならない」

この声明は嘲笑の的になった。保守派の政治誌キケロの編集者は、CDU指導部はレゾがネット広告大手のシュトレアー・グループと提携している事実に言及するだけでよかったと指摘する。左派に加えて多くの中道派も、声明は時代に逆行しており愚かだと主張した。

メディア法に詳しい著名な弁護士ヨハネス・ウェバーリンクも、クランプカレンバウアーの対応を「ひどい」と評したが、一方でネット上の有名人の政治活動について議論する時期に来ているという点には同意する。

既存の法律は、ジャーナリストに真実の報道を要求しているが、ネットの有名人は野放しだ。新聞が特定候補を支持することはドイツでは合法だが、新聞の「意見」ははっきりそれと分かるようにしなければならない。

2大政党の不人気は深刻

だが「報道」と「意見」を厳格に区別することや、既成政党が積極的にSNSを活用することで、現在の混乱を沈静化できるとは思えない。「政党もジャーナリストも同じ問題を抱えている」と、調査報道に取り組むNPOコレクティブの代表オリバー・シュレームは言う。

コレクティブはヨーロッパの国境での税金詐欺の記事をネットで発表する際、人気コメディアンと協力してソーシャルメディアに記事を広めることに成功した。「若者が政治に無関心なのではない。私たちが彼らにリーチする方法を見いだせていない」と、シュレームは言う。

ドイツの2大政党は失敗の高いツケを払わされている。SPDのアンドレア・ナーレス党首は6月2日、選挙の不振の責任を取って辞任を表明。最新の世論調査では緑の党が史上初めて、2大政党を抜いてドイツで最も人気のある政党になった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、イラン攻撃の即時停止要請 米・イスラエルに懸

ワールド

イラン最高指導者ハメネイ師が空爆で死亡、86歳 米

ワールド

イラン最高指導者ハメネイ師死亡、国営メディア確認 

ワールド

ドバイで空港と代表的ホテルが被害、イランの攻撃で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作曲家が「惨めでもいいじゃないか」と語る理由
  • 2
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 3
    「努力が未来を重くするなら、壊せばいい」──YOSHIKIが語った創作と人生の覚悟
  • 4
    【クイズ】世界で最も「一人旅が危険な国」ランキン…
  • 5
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍…
  • 6
    【クイズ】サメによる襲撃事件が最も多い国はどこ?
  • 7
    がん治療の限界を突破する「細菌兵器」は、がんを「…
  • 8
    トランプがイランを攻撃する日
  • 9
    「本当にテイラー?」「メイクの力が大きい...」テイ…
  • 10
    米・イスラエルの「イラン攻撃」受け、航空各社が中…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 8
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 9
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 10
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中