最新記事

ファーウェイ

ファーウェイ、一夜にして独自OS:グーグルは米政府に包囲網解除を要求か

2019年6月11日(火)18時45分
遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)

それによれば、ファーウェイは2018年8月24日にすでに独自OS「華為鴻蒙」を商標登録すべく申請を出していて 、登録公告をしたのは2019年5月14日だとのこと。米政府がエンティティ・リストを発表する1日前のことだったことが分かる。事前に準備していたようだ。だからインタビューを受ける任氏の態度には余裕さえ感じられたということか。

商標専用使用権の登録期間は2019年5月14日から2029年5月13日まで。

任氏は「スペア・タイヤは早くから準備していた」と言っていたが、なんと、2012年から独自OS「華為鴻蒙」に着手していたというから、「いつ、何が起きてもいいように」周到に準備されていたものとみなしていいのだろう。

燃え上がる中国ネット

現在、ファーウェイは100万台のスマホを用いて、独自のOSをさまざまな端末に搭載した時の適応性、安全性などの測定を行なっている。その測定に中国中の大手IT企業が支援を申し出た。

アリババ、テンセント、バイドゥ......などが次々と応援の手を差し伸べ、中国のネットはファーウェイとそれを応援する大手企業に対して賛美の声を上げ、まさに「真っ赤に燃え上がっている」ようだ。

特にアリババの馬雲が、トランプ大統領に「アメリカに300万人の就職先を提供する」と約束したことを取り消したために、「馬パパ、偉いぞ、よくやった!」と賛辞を惜しまない。

中国のネットは「華為加油(ホァーウェイ、ジャーユー)(ファーウェイ、頑張れ)!」の応援歌に満ち、ファーウェイと人民の一体化が過熱している。

グーグルがファーウェイ側に寝返ったか?

慌てたのがグーグルのようだ。

トランプ政権がファーウェイに対して半導体などの輸出禁止を発表すると、グーグルは直ちにファーウェイに対してアンドロイドのライセンス剥奪措置を宣言。完全にトランプ政権の方針と歩調を合わせていた(かに見えた)。これは本来ならファーウェイに致命的な打撃を与えるはずだった。

だというのに、ファーウェイの任氏は5月21日のインタビューで「グーグルは良い仲間だ。いろいろと方法を考えてくれている」と余裕の表情を見せていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英CPI、10月3.6%に鈍化 12月利下げ観測

ビジネス

エア・インディア、中国・新疆ウイグル自治区上空の飛

ビジネス

東京海上、純利益予想を下方修正 外貨間為替影響やア

ビジネス

農林中金、4ー9月期の純利益846億円 会社予想上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 10
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中