最新記事

ファーウェイ

ファーウェイ、一夜にして独自OS:グーグルは米政府に包囲網解除を要求か

2019年6月11日(火)18時45分
遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)

HUAWEI Jorge Silva-REUTERS

米国から締め出されアンドロイド提供も断られたファーウェイは一夜にして独自OSを発表し、中国ネットは燃え上がった。かえって安全を脅かすことを理由にグーグルは米政府のファーウェイ包囲網解除を要求している。

一夜にして独自OS「華為(Huawei)鴻蒙(Hongmeng)」を商品登録

5月15日に米政府からエンティティ・リスト(Entity List)(貿易を行うに好ましくない相手と判断された企業などのリスト)に挙げられたファーウェイは、5月21日に中国の中央メディアの集中取材を受けた(詳細は5月22日付のコラム<Huawei一色に染まった中国メディア──創設者が語った本音>)。

今回は、このとき任正非CEOが言った以下の二つのことに注目したい。

1.スペア・タイヤは早くから準備している。
2.グーグルとは、いろいろ話をしている。その内容は今は言えない。

全体として任氏は、ともかく「これまで30年間、共に歩んできたアメリカの企業に感謝している」と、ひたすら米企業への感謝の思いと「市場を支え合う仲間」としての友情を強調していた。

まず「1」に関して述べよう。

ファーウェイの頭脳である半導体メーカー(正確には理念設計)のハイシリコンは、任氏の取材に先駆けて「ハイシリコンにはスペア・タイヤがある」とネットで書簡を公開していたが、任氏も取材で「スペア・タイヤ」に関して言及した。

それによれば、ファーウェイは米大手半導体メーカーのクァルコムなどから半導体の一部を輸入はしていたものの、「それは世界の市場に融け込むためであって、ファーウェイ自身は実は早くから同じレベルの半導体を準備している。だから半分は自社の半導体を使い、半分はわざと他社から輸入していたのだ。これは、いざという時の孤立を防ぐためだった」と語っている。

OS(Operating System)に関しても同様のスペア・タイヤは早くから準備していると言っていた。

そんな強がりを言ったところで、「さすがにOSに関してはお手上げだろう。どうせ出来やしないさ」と日本人の多くは「ファーウェイの失敗」に期待したようだが、その期待はすぐさま裏切られたようだ。

取材から3日後の5月24日、中国の「国家知的財産権(知識産権)局商標局」はファーウェイが「華為鴻蒙(Huawei Hongmeng)」というファーウェイ独自のOSの商標登録を終えたと発表した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=小反発、ナスダック最高値 決算シーズ

ワールド

トランプ氏、ウクライナ兵器提供表明 50日以内の和

ワールド

ウへのパトリオットミサイル移転、数日・週間以内に決

ワールド

トランプ氏、ウクライナにパトリオット供与表明 対ロ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 2
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 7
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中