最新記事

軍事

中国軍増強で、米軍は台湾や南シナ海に近づけなくなる

China's Military Technology Now Close to Parity With U.S., Report Warns

2019年6月7日(金)17時20分
デービッド・ブレナン

南シナ海で演習中の中国空母「遼寧」と艦載戦闘機J-15(2017年) Mo Xiaoliang-REUTERS

<「中国が来る、中国が来る、中国が来る......もうこれ以上、待てない」!?>

軍事力でアメリカを抜き世界一になることを目標としてきた中国軍は、ここへきて技術的に米軍と同等の力を付けつつある――新たに発表された報告書がこう警告した。

シンクタンク「新アメリカ安全保障センター(CNAS)」が発表したこの報告書は、ロバート・ワーク前米国防副長官とその元顧問グレッグ・グラントが作成した。それによれば、中国の台頭により、アメリカが長年にわたって享受してきた世界での軍事的優位性に終止符が打たれるかもしれない、と警告している。

「人民解放軍はこの20年、粘り強く米軍を追いかけてきた」と報告書は説明。「アメリカの好みの戦い方を研究し、その弱みにつけ込んで強みを相殺する戦略を探し求めてきた。とくに軍事技術面では、米軍は圧倒的に強かったからだ」

こうも付け加えた。「軍の運用システム面では既に対等な技術力を達成しつつあり、今後は軍事技術でも優位を目指す計画だ」

世界最先端の米軍を追い抜くために、中国は3段階から成る計画を立てているという。1990年代後半~2000年代の第1段階は、軍の近代化を成し遂げるまでの間、劣勢の立場からでも米軍に対抗する方法を考えた。

世界にも力を誇示できる

「精密誘導兵器やサイバー戦争の技術面で、アメリカとおおよそ対等な立場」を達成したところから始まるのが、第2段階。達成できれば中国は周辺地域に対する優位性を確立できる。中国軍が対艦ミサイルや極超音速ミサイルなどの専門兵器を導入すれば、南シナ海や台湾のような地域での戦争は、アメリカにとって「あまりに犠牲が多い、検討の対象外」の戦争になるという考えだという。

最後の第3段階は、中国軍が技術で既にアメリカを追い抜いた段階だ。そうなれば中国政府は、周辺地域のみならず世界の他の地域に対しても、その力を誇示することができる。

中国は産業スパイや技術スパイを使ってアメリカと対等な地位を確立し、米国防総省の弱みを探し、戦場で優位に立つための人工知能に巨額の投資を行ってきた、と報告書は指摘する。報告書はまた、中国が奇襲用のいわゆる「邪悪な能力(black capabilities)」を保持している、とも示唆した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国百度のAI半導体部門、香港上場を申請

ワールド

金正恩氏娘が宮殿初訪問、両親の間に立つ写真 後継ア

ワールド

韓国大統領が4日訪中、両国関係の「新たな章」期待 

ワールド

インド製造業PMI、12月2年ぶり低水準 需要減退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    【現地発レポート】米株市場は「個人投資家の黄金時…
  • 8
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 9
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 10
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中