最新記事

軍事

中国軍増強で、米軍は台湾や南シナ海に近づけなくなる

China's Military Technology Now Close to Parity With U.S., Report Warns

2019年6月7日(金)17時20分
デービッド・ブレナン

アメリカの軍当局者や議員たちはこれまでも、中国の軍事力の進歩について警鐘を鳴らしてきた。CNASの報告書は、中国政府が過去20年にわたって軍に巨額の投資を行ってきたと指摘する。1996年~2015年の間では、実質ベースで少なくとも620%増加しており、中国の軍事費はアメリカに次ぐ世界2位。

米統合参謀本部のポール・セルバ副議長は2018年、中国軍は2020年前半までにアメリカと対等な技術力を達成し、2030年代にはアメリカを凌ぐ技術力を達成する可能性があると警告した。議会の委託を受けて2018年末に発表された調査報告では、今やアメリカが中国との戦争に負ける可能性もあると警告した。

ドナルド・トランプ政権は2018年初頭に新たな国防戦略を策定し、ロシアや中国からの脅威に対応するために、これまでの対テロ作戦から「大国間競争」へと軸足を移すよう国防総省に指示した。米軍の優位性を維持するための技術革新を説いた2014年の米国防総省のイニシアチブ「第三の相殺戦略」に基づいた戦略だ。1950年代の戦術核、1970年代の精密誘導通常兵器に続くもので、伝統的な作戦領域で米軍が必ずしも優位ではなくなった場合に、無人機やステルス性兵器などテクノロジーで相殺しようというものだ。

ワーク前米国防副長官はワシントン・ポスト紙に対して、第三の相殺戦略は中国の脅威を明確にすべきだったと語った。「私なら『中国が来る、中国が来る、中国が来る』と声を上げていた。そして『もうこれ以上、待てない』と言っただろう」

(翻訳:森美歩)

20190611issue_cover200.jpg
※6月11日号(6月4日発売)は「天安門事件30年:変わる中国、消せない記憶」特集。人民解放軍が人民を虐殺した悪夢から30年。アメリカに迫る大国となった中国は、これからどこへ向かうのか。独裁中国を待つ「落とし穴」をレポートする。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

カナダ、石油パイプライン新設提案「可能性高い」とカ

ワールド

ガザ停戦合意をトランプ氏が支援、イスラエル首相が会

ワールド

プーチン氏「グローバリゼーションは時代遅れ」、新興

ビジネス

5月実質賃金2.9%減、5カ月連続 1年8カ月ぶり
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 10
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中