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ファーウェイCFO釈放求める中国、カナダの食肉検査を強化へ

2019年6月5日(水)12時46分

中国政府は、カナダ産の食肉および食肉製品に対する検査を強化する方針だ。写真はカナダ産の豚肉。トロントの精肉店で2017年5月撮影(2019年 ロイター/Hyungwon Kang)

中国政府は、カナダ産の食肉および食肉製品に対する検査を強化する方針だ。カナダ農務省が食肉業界に宛てた通知をロイターが入手した。同国の業界団体は「壊滅的な影響」が及ぶ可能性があると訴えた。

中国は既にカナダ産キャノーラ(菜種)の輸入を停止し、カナダの2カ所の養豚場に対する輸出認可を一時停止している。中国政府は、カナダが米国の要請で拘束し米国が引き渡しを求めている中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)の釈放をカナダに求めている。

カナダ農務省の通知によると、中国のカナダ大使館は、中国税関職員がカナダ産食肉と食肉製品の入ったコンテナ全てを開き、場合によっては中身を全て検査するとの連絡を受けた。中国当局は「豚肉出荷に関する最近の法令順守違反の事例」を理由に挙げるとともに、アフリカ豚コレラ(ASF)のリスクや密輸対策に関連した措置と説明したという。

中国ではASF感染が拡大しており、中国農業農村省が前月公表したデータによると、国内で飼育されている雌豚の頭数は4月に前年同月から22.3%減少した。

カナダポーク協議会は、検査強化は食品安全よりも書類の不備に関係していると指摘。食肉加工大手が加盟するカナダ食肉協会(CMC)は加盟社に対し、輸出基準の順守を徹底するよう求めた。

ロイターが確認した加盟社へのメッセージは「わずかな『法令順守違反』でも中国向け食肉輸出全体を危機にさらす可能性があり、そうなればCMC全加盟社に壊滅的な影響が及ぶ」としている。

今年第1・四半期のカナダの中国向け豚肉および豚肉製品の輸出は2億1500万カナダドル(1億6050万米ドル)に上っており、カナダにとって中国は第3位の輸出市場だった。

中国の盧沙野・駐カナダ大使は食肉の検査強化は報復措置ではないと強調。中国のテレビ局に対し、当局は「常に法律に沿って、科学的なアプローチを根拠に措置を講じている」と述べた。

[オタワ 4日 ロイター]


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