欧州議会選、EU懐疑主義躍進でもEU反対論は下火のなぜ?
欧州統合のスピードを疑問視する政治勢力の登場は、健全な民主主義プロセスの一環だ。真の意味での試金石が待つのは欧州議会選後。欧州全体と欧州内でのEUの役割について、明確で首尾一貫した代案を示せるかどうかが、懐疑派には問われる。統合促進に向けた近年の重要な動き、金融危機と債務危機を受けて設立した欧州安定メカニズムや銀行同盟、対外国境管理強化のための欧州国境沿岸警備機関には明らかな必然性があった。国単位では効果的な取り組みができていなかったからだ。
欧州は機能しておらず、わが国の有権者の利益を守れるのは自分たちだけだと、EU懐疑派は主張する。だが現実には、欧州議会という枠組みの中で「自国第一主義」をまともな政策に反映できていない。懐疑派政党間の連合の動きもうまくいっていない。なんといっても、EUの行動の大半は加盟国を利するものなのだから。
多くの欧州市民は今、EUと、EU懐疑派のポピュリストの双方に親愛を感じているようだ。親EU派はこの事実を嘆くのでなく、欧州の未来のために不可欠な議論を始めるチャンスにするべきだ。
<本誌2019年05月28日号掲載>
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