最新記事

日本社会

この50年で完全に逆転した、日本の若年層と高齢層の投票者数

2019年5月8日(水)16時15分
舞田敏彦(教育社会学者)

これでは、若者の要望が政治に反映されにくい。想像がつくだろうが、政府に何を求めるかは年代によって異なる。昨年の『国民生活に関する世論調査』では、政府への要望を複数回答で尋ねている。<図1>は、横軸に20代、縦軸に70歳以上の要望率をとった座標上に32の事項を配置したグラフだ。

maita190508-chart02.jpg

斜線は均等線で、この線より下にあるのは高齢者より若者の要望率が高い事項だ。雇用・労働問題への対応、景気対策の要望率は、若者が高齢者より20ポイント以上高い。少子化対策や教育振興の要望率も世代差が大きい。自分たちが直面している問題だからだろう。投票に行く若者が増えれば、図の右下の事項にも本腰が入るようになる。

若者の投票率を上げるには、彼らが馴染みやすいネット選挙の導入を真剣に考えるべきだ。また、選挙の年には一定額の供託金を市民税と一緒に引き落とし、投票に行ったらその場で返してもらえる「選挙供託金」を導入してはどうだろうか。中南米の諸国では、正当な理由なく投票しなかった場合は罰金を科されるが、確実に没収できる供託金のほうが効果はありそうだ。投票へのインセンティブを高めるには、こうした強硬策も必要かもしれない。

為政者に若者が少ないのも問題だ。同性愛への寛容度を見るとわかるが、日本の若者は欧米に劣らず先進的な意識を持っている。議場に若者が増えれば社会は変わる可能性がある。地方では、議員のなり手も不足している状況だ。地方に移住し、若さを武器に積極的に立候補してみるのもいい。間接民主制の政治参画の具体的な方法(投票、出馬)をレクチャーして実践を促すのは、学校における公民教育の役割でもある。

<資料:総務省『国政選挙における年代別投票率』
    内閣府『国民生活に関する世論調査』(2018年6月)

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アングル:「高市ラリー」再開か、解散検討報道で思惑

ビジネス

トランプ米大統領、クレジットカード金利に10%の上

ビジネス

関税返還となった場合でも米財務省には十分な資金=ベ

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、米雇用統計予想下回る 円は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 6
    「不法移民からアメリカを守る」ICEが市民を射殺、証…
  • 7
    美男美女と話題も「大失敗」との声も...実写版『塔の…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 10
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 8
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 9
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 10
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中