最新記事

中国

「一帯一路 国際シンクタンク」結成を提唱:「新国連」を立ち上げる勢い

2019年4月27日(土)22時41分
遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)

中国がどのようにしてアフリカ53ヵ国や「BRICS+22ヵ国」および「発展途上国77ヵ国+China」(中国語では「77集団+中国」)を中国側に惹きつけることによって、全世界を掌握しようとしているかに関しては拙著『「中国製造2025」の衝撃』の第五章で詳述した。まるで「新国連」を立ち上げる勢いだ(p.252)とも書いた。

その証左が、今般の習近平のスピーチに如実に表れている。

おまけにトランプ大統領が脱退した「パリ協定」を、新たに中国を中心として創るべく、スピーチでは「緑色発展国際連盟」を設立させようとも提唱している。「緑色」とは「グリーン」、すなわち「環境保護」のことだ。債務の罠がないことを強調するために「一帯一路 持続発展性都市連盟」も結成すると強調している。

トランプは、国連からさえ「脱退するぞ」と脅しをかけてきている。

それも習近平には有利に働き、中国は現在の国連に取って代わって、中国が「一帯一路」によってグローバル経済を支配し、思想・先進文化まで赤化(親中化)させて、「新国連」もどきを世界に創りあげようとしているのである。

そのことのために中国に手を貸しているのが日本であることを自覚してほしいと切望する。

念のため、もう一度ここに貼り付けるが、1992年に中国を日本よりも大きな経済大国にさせたのは、ほかならぬ日本だ。

endo20190427194302.jpg

1992年の天皇訪中により、天安門事件に対する西側諸国の対中経済封鎖網を解除させてしまった。日本が中国を経済大国にさせておきながら、その中国が今「経済大国」であるが故に、日本は中国に取り入り、「一帯一路」にまで協力しようとしている。

安倍首相は習近平国家主席の訪日を実現させることによって「中国とのシャトル外交」に成功したとして自らの外交力をアピールしようとしているのだ。

情けないではないか――。

日本には「外交戦略がない」と言うしかあるまい。それに関しては1月21日付のコラム<日ロ交渉:日本の対ロ対中外交敗北(1992)はもう取り返せない>で詳述した。ご参考までに付言する。

endo2025.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

この筆者の記事一覧はこちら≫

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

TikTokなど、子どもの利用制限巡りインドネシア

ビジネス

政府の特例公債法案、基本的には賛成=玉木国民民主代

ビジネス

午前のドルは157円後半でもみ合い、イラン情勢の悲

ビジネス

米上院議員、中東紛争のインフレへの影響分析を労働統
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目のやり場に困る」密着ウェア姿がネットを席巻
  • 4
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 5
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ル…
  • 6
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 7
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    プーチンに迫る9月総選挙の暗雲
  • 10
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中