最新記事

中国

中国「一帯一路」国際会議を開催 「借金漬け」批判の払拭狙う

2019年4月25日(木)13時30分

4月24日、中国が掲げる巨大経済圏構想「一帯一路」に関する国際会議が、25日から27日まで北京で開かれる。写真は23日、北京の「一帯一路」国際会議の会場で、メディア向けの資料を確認する記者ら。チャイナ・デイリー紙提供(2019年 ロイター)

中国が掲げる巨大経済圏構想「一帯一路」に関する国際会議が、25日から27日まで北京で開かれる。同構想は対象国を「債務の罠(わな)」に陥れるなどとして批判を浴びており、中国は懸念払拭に力を入れそうだ。

会議にはロシアのプーチン大統領、パキスタンのカーン首相など、世界の指導者37人が出席。ロイターが確認した共同声明草案によると、参加国は世界的な債務目標と環境保護を尊重する形のプロジェクトファイナンスで合意する見通しだ。

2013年に導入された一帯一路は、関連プロジェクトの大半が今も継続中だが、マレーシアやモルディブの政権交代で変更を迫られた案件があるほか、パキスタンの発電所やシエラレオネの空港建設は金銭的な理由で棚上げされた。

構想には中国が覇権を広げるための手段であり、投資対象国に重債務を負わせるなどの批判がつきまとっている。

中国政府を後ろ盾とする上海社会科学院の一帯一路研究センター幹部、リー・リファン氏は、構想は「合理化と評価」の段階にあると説明。国際会議は「これまでを振り返り、将来の希望について話し合う時」になるだろうと語った。

業界関係者や外交筋によると、2年前に初めてこの会議が開かれて以来、中国政府のアピールの仕方は変化した。

西側の外交官によると、構想の政治的な部分を取り扱う当局は、国家発展改革委員会から外務省に移った。変化が起こったのは昨年だという。

他のアナリストらによると、昨年後半に中国の海外戦略が顕著に変化。少なくとも10カ国で、中国の大使や外交官が地元メディア向けに構想を擁護する書簡を公表するという、異例の動きが見られた。

ワシントンのコンサルタント会社RWRアドバイザリーのアンドルー・ダベンポート最高執行責任者は、中国が批判に敏感になったと指摘。「ここ数カ月間、一帯一路に関する中国政府の表現ぶりが、批判に反論し、押し返すよう意図されているのはかなり明らかだ」と話した。

会議の外国首脳出席者数は2017年の29人から増える予定だが、前回に比べて会議前の盛り上がりは欠いている。

政府は前回、開催日を約1カ月前に公表し、国営メディアは開会に先駆けて音楽や動画を放送した。しかし今回、政府が日程を確認したのは開催まで1週間を切った19日になってからで、メディアの大騒ぎも見られない。

[北京 24日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:日米為替声明、「高市トレード」で思惑 円

ワールド

タイ次期財務相、通貨高抑制で中銀と協力 資本の動き

ビジネス

三菱自、30年度に日本販売1.5倍増へ 国内市場の

ワールド

石油需要、アジアで伸び続く=ロシア石油大手トップ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中