最新記事

中国

中国で「黄帝祭典」盛大に行うもネット民は無反応――「令和」との違い

2019年4月9日(火)13時41分
遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)

すると、以下のような回答が戻ってきた。

──ああ、黄帝ですか......。あれは、そもそも歴史が確かでないのに、あたかも確かであるかのごとく強引に歴史を創りあげて、ま、言うならば歴史の捏造のようなものですからねぇ。あんなものを使って「中華民族の偉大なる復興」と言われても、気持ちは引いてしまいますよ。かと言って、政府の意図はわかってるので、面倒なことになるからツッコミを入れるわけにもいかないし......。私の周りでも、日本の新年号「令和」に燃える人は数多くいますが、黄帝祭典に関心を持つ人は一人もいません。

ほう、そんなものなのか......。

政府が主導するものには燃えないのが、若者の心情らしい。

ならば、「なぜ日本の令和に燃えるのか」と聞いてみると、「まあ、脱中国化などと報道されたので、一時は一種のナショナリズムが渦巻きましたが、それが過ぎると、何と言いますか、自由にツッコミを入れてもいいので、ツッコミが楽しいという気持ちになってきたような感じがないではありません。あと、日本人の反応がおもしろいかな......。そこには現在の日本文化がストレートに反映されているので、なんだか"萌えます"」とのこと。

「令和」に燃える方が楽しい?

たしかに4月1日付の「世界説」は、実に自由闊達に「令和」に関する日本のネットユーザーの情報を発信しているし(4月1日の19:02発で、よくここまで日本の情報を拾ったと思うほど臨場感あふれる情報満載。このページの最後まで写真だけでもご覧いただくと分かる)、4月3日付けの湖北衛視(BS)もまた、生き生きとした語り口で詳細に、しかもかなり正確に、日本の新年号「令和」に関して解説している。

4月4日付の中国共産党系の「参考消息」さえ、クッキーやマグカップの「令和」を見せたりして、楽しそうではないか。

驚いたのは中国版ツイッターの「微博(ウェイボー)」において、4月7日になっても、まだ「令和」に関するコメントが続いていたことだ。

中には「もしあなたが1995年6月5日(平成7年)生まれなら、これまではH7、6、5と書けばよかったんだけど、2036年に生まれた子供は"R18"(18禁)になっちゃうんだよね!どうするの?」といったものもあり、「ハハハハハ...」と笑いで反応する者がいたりする。あちこちのサイトで、こんなことをずっと「堪能」しているようにさえ見える。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米メタ、メタバース事業の予算を最大30%削減と報道

ビジネス

米新規失業保険申請、2.7万件減の19.1万件 3

ワールド

プーチン氏、インドを国賓訪問 モディ氏と貿易やエネ

ワールド

米代表団、来週インド訪問 通商巡り協議=インド政府
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 4
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 5
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 6
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 7
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 8
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 9
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 10
    白血病細胞だけを狙い撃ち、殺傷力は2万倍...常識破…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 5
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 6
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中