最新記事

音楽

アリアナ、ブルーノ・マーズなどの17曲放送禁止に インドネシア、選挙を控えてイスラム教徒に忖度?

2019年3月2日(土)18時28分
大塚智彦(PanAsiaNews)

インドネシア国内のエンターテインメント番組でも取り上げられたが…… metrotvnews / YouTube

<「音楽に国境はない」と言われるが、内容によっては禁止される国もある>

インドネシア・ジャワ島の最も人口が集中する西ジャワ州の放送委員会は2月中旬に英語歌詞の曲17曲を含む85曲を「極めて卑猥な内容を含む歌である」として放送を禁止する決定をして、州内の大小471の放送局に通達の文書を配布した。

英語歌詞の中にはアリアナ・グランデの「ラブ・ミー・ハーダー」やエド・シーランの「シェイプ・オブ・ユー」、ブルーノ・マーズの「ザッツ・ホワット・アイ・ライク」など世界的に著名な歌手の曲も含まれており、世界の音楽界で話題となっている。

禁止通達を出した西ジャワ放送員会のデデ・ファルディア委員長は地元誌「テンポ」に対し「今回の措置は曲でなく歌詞にポルノ的内容、猥褻な連想を抱かせるものがあるためであり、放送法の規定に従って判断したものである。特に女性を性の対象とするような内容には厳しく対処した」という旨の発言で放送禁止の理由を明らかにしている。

同委員会は2018年〜2019年初めにかけて一般から寄せられた苦情や情報に基づいて86曲に関して調査を進めてきたという。今回の放送禁止の措置の根拠となっているインドネシア放送法(2012年施行)では「放送プログラムでは歌、音楽ビデオなどのタイトル、歌詞に性的、卑猥、性的関係を連想、模写するような内容は禁止する」という規定がある。

ブルーノ・マーズがツイートで反応

この放送禁止措置を受けた歌手のうちエド・シーランは5月3日に首都ジャカルタのスタジアムでコンサートが予定されており、放送禁止措置を受けた曲を歌うのかどうかが今から注目されている。

またブルーノ・マーズは禁止措置を受けた著名歌手の中で唯一反応し、ツイッターで「親愛なるインドネシアよ、皆さんに『ナッシング・オン・ユー』『ジャスト・ザ・ウェイ・ユー・アー』『トレジャー』などの健全な曲を贈るので性的な変人と一緒にしないでほしい」とコメントしている。

西ジャワ放送委員会では「放送禁止といっても青少年への影響を考慮して、午後10時から午前3時の間は放送可能で、その時間以外の放送、放映を禁止しただけであり、全面禁止ではない」と釈明している。

インドネシアに向けたブルーノ・マーズのメッセージ
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮、クルスク復興に工兵派遣へ ショイグ氏が今月

ビジネス

米小売売上高、5月ー0.9%で予想以上の減少 コア

ビジネス

日産、3代目「リーフ」を米で今秋発売 航続距離など

ビジネス

アングル:日銀、経済下押しの程度を注視 年内利上げ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火.…
  • 7
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 8
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 9
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 10
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 3
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 4
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中