英国の欧州連合(EU)離脱協定を巡りメイ英首相は7日にブリュッセルを訪れ、北アイルランド国境問題について法的拘束力のある協定修正を要求する。修正が受け入れられなければ、合意なき離脱となる可能性があると警告する見込みだ。

英国のEU離脱は52日後に迫っているが、11月に合意した離脱協定案を変えられるかどうかで依然議論が続いている。離脱の後ずれや土壇場での合意、もしくは合意なき離脱などさまざまなシナリオがあり得る状況だ。

英議会は1月、メイ首相とEUが取り決めた離脱合意案を否決した。EU加盟国であるアイルランドと英国領の北アイルランド間の国境について、厳格な国境検査を避けるための措置が移行期間中に決まらなければ英国がEU単一市場の一部ルールに従うというバックストップ(安全策)に英議会は反対し、変更を求めた。

メイ首相は5日に北アイルランドを訪れ、域内の平和を確保するような秩序ある離脱を遂行する旨を伝える意向だ。

2017年の総選挙で過半数割れとなったメイ首相率いる保守党を支えるため閣外協力する北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP)のフォスター党首は、離脱協定で合意を望むものの、現在の安全策は変更する必要があるとの立場を明確にした。BBCラジオで「現在の安全策は北アイルランドの住人にとって害となると主張し続けてきた」と述べた。フォスター氏は6日にメイ氏と会談する。

EU側のバルニエ首席交渉官は4日、EUは離脱協定案と安全策を再交渉しないが、離脱後に安全策の代替措置を模索する可能性はあると述べた。

EU側は合意なき離脱を避けたい考えだ。EUで最大の権威を有するドイツのメルケル首相は5日、膠着状態の打開策には創意工夫が必要との見方を示した。東京で開催された経済関係者らとの会議で「政治的な観点からは時間はまだある」と語った。

英国の修正案を待つEUでは、離脱が後ずれするとの見方が外交官や当局者らの間で高まっている。あるEU外交官は「数週間だけかもしれないし、5月末、7月上旬となるかもしれない。後ずれしても合意できるかは分からないが、少なくとも時間は作れる」と述べた。

[ロンドン/ブリュッセル 5日 ロイター]
トムソンロイター・ジャパン
Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます
◇ ◇ ◇
※ニューズウィーク日本版2019年2月12日号(2月5日発売)は「袋小路の英国:EU離脱3つのシナリオ」特集。なぜもめている? 結局どうなる? 分かりにくさばかりが増すブレグジットを超解説。暗雲漂うブレグジットの3つのシナリオとは? 焦点となっている「バックストップ」とは何か。交渉の行く末はどうなるのか。
ニューズウィーク日本版 台湾有事の新シナリオ
2026年4月21号(4月14日発売)は「台湾有事の新シナリオ」特集。

米・イラン戦争で変わる地域紛争の「大前提」/石油危機を恐れるべき理由

※バックナンバーが読み放題となる 定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます