最新記事

袋小路の英国:EU離脱3つのシナリオ

英メイ首相、EUに離脱協定の修正要求へ 7日にブリュッセルのEU本部訪問

2019年2月6日(水)10時31分

英国の欧州連合(EU)離脱協定を巡りメイ英首相(写真)は7日にブリュッセルを訪れ、北アイルランド国境問題について法的拘束力のある協定修正を要求する。ベルファストでのスピーチを代表撮影(2019年 ロイター)

英国の欧州連合(EU)離脱協定を巡りメイ英首相は7日にブリュッセルを訪れ、北アイルランド国境問題について法的拘束力のある協定修正を要求する。修正が受け入れられなければ、合意なき離脱となる可能性があると警告する見込みだ。

英国のEU離脱は52日後に迫っているが、11月に合意した離脱協定案を変えられるかどうかで依然議論が続いている。離脱の後ずれや土壇場での合意、もしくは合意なき離脱などさまざまなシナリオがあり得る状況だ。

英議会は1月、メイ首相とEUが取り決めた離脱合意案を否決した。EU加盟国であるアイルランドと英国領の北アイルランド間の国境について、厳格な国境検査を避けるための措置が移行期間中に決まらなければ英国がEU単一市場の一部ルールに従うというバックストップ(安全策)に英議会は反対し、変更を求めた。

メイ首相は5日に北アイルランドを訪れ、域内の平和を確保するような秩序ある離脱を遂行する旨を伝える意向だ。

2017年の総選挙で過半数割れとなったメイ首相率いる保守党を支えるため閣外協力する北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP)のフォスター党首は、離脱協定で合意を望むものの、現在の安全策は変更する必要があるとの立場を明確にした。BBCラジオで「現在の安全策は北アイルランドの住人にとって害となると主張し続けてきた」と述べた。フォスター氏は6日にメイ氏と会談する。

EU側のバルニエ首席交渉官は4日、EUは離脱協定案と安全策を再交渉しないが、離脱後に安全策の代替措置を模索する可能性はあると述べた。

EU側は合意なき離脱を避けたい考えだ。EUで最大の権威を有するドイツのメルケル首相は5日、膠着状態の打開策には創意工夫が必要との見方を示した。東京で開催された経済関係者らとの会議で「政治的な観点からは時間はまだある」と語った。

英国の修正案を待つEUでは、離脱が後ずれするとの見方が外交官や当局者らの間で高まっている。あるEU外交官は「数週間だけかもしれないし、5月末、7月上旬となるかもしれない。後ずれしても合意できるかは分からないが、少なくとも時間は作れる」と述べた。

[ロンドン/ブリュッセル 5日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

◇ ◇ ◇

※ニューズウィーク日本版2019年2月12日号(2月5日発売)は「袋小路の英国:EU離脱3つのシナリオ」特集。なぜもめている? 結局どうなる? 分かりにくさばかりが増すブレグジットを超解説。暗雲漂うブレグジットの3つのシナリオとは? 焦点となっている「バックストップ」とは何か。交渉の行く末はどうなるのか。

ニューズウィーク日本版 習近平独裁の未来
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月17号(2月10日発売)は「習近平独裁の未来」特集。軍ナンバー2の粛清劇は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」強化の始まりか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:高市トレード、個人も順張り 反転リスクに

ワールド

中国、国防産業監督機関の元幹部を汚職で起訴

ワールド

韓国企画財政相、米投資案件を事前審査へ 法案可決前

ビジネス

英BP、第4四半期利益は予想通り 自社株買いを停止
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 8
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 9
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 10
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中