最新記事

日本経済

外国人技術者受け入れ、日本企業の8割が歓迎 一方で制度不備に不安の声

2018年12月7日(金)10時55分

12月7日、12月ロイター企業調査によると、入国管理法改正によって一定の技能を持つ外国人を対象に新たな在留資格を創設することについて、政府の受け入れ制度の不備を指摘する回答が多かったものの、労働力不足の緩和を理由に8割がおおむね歓迎する意向を示している。写真は外国人労働者。群馬県で2015年4月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino)

12月ロイター企業調査によると、入国管理法改正によって一定の技能を持つ外国人を対象に新たな在留資格を創設することについて、政府の受け入れ制度の不備を指摘する回答が多かったものの、労働力不足の緩和を理由に8割がおおむね歓迎する意向を示している。

賃金水準については、いまだに外国人労働者を安い労働力と位置付け、その影響で全体の水準が低下するとみている企業が3割ほどある一方、大半の企業の間には同一労働同一賃金の認識が広がっている。

調査は11月20日から12月3日にかけて実施、資本金10億円以上の中堅・大企業480社に調査票を送付し、230社程度が回答した。

入国管理法改正案では、一定の技能を有する外国人を「技能工」という新たな在留資格で受け入れ、永住につながる道も開く。

こうした制度を「歓迎する」との回答は全体の11%、「どちらかというと歓迎」が66%を占め、合わせて77%の企業が歓迎している。

「労働力不足の解消」(幅広い業種)のための即効薬として歓迎する企業が多い。

ただ、「日本での生活に安心を与えるべき。社会教育制度の整備が必要」(電機)、「受け入れに伴うインフラ対応・体制が追い付いていない」(窯業)などの指摘があり、社会保障や教育制度の問題などが未解決であるため、手放しでは歓迎できないとみているようだ。

このため「反対」「どちらかというと反対」と回答した企業も23%を占めた。「日本人の嫌がる労働を押し付けるような施策は、本来の姿ではない」(建設)、「人員不足の側面だけで議論されているが、移住者やその家族への補償、権利が不明確」(金属)といった指摘のほか、生活が不安定であれば「治安の悪化」につながるとの声も多かった。

日本企業全体の賃金水準がどう変化するかについて尋ねたところ、「上昇する」が11%、「変わらない」が61%を占めた。「低下する」は29%だった。

政府は、外国人技能工には日本人と同等ないしそれ以上の賃金水準求めている。

「上昇」ないし「変わらない」を予想する企業からは「外国人労働者であっても国内給与基準で採用。そうしないと技能収受者が転職する可能性がある」(繊維・紙パ)、「低賃金だと製品の品質が低下することになる」(機械)といった理由が挙げられた。

しかし一方で「下がる」とみている3割の中には、いまだに日本人との二重賃金を想定し、「 安い労働力を求めて結果的に下がる」(その他製造)、「海外からの労働力は割安」(多くの企業)といった従来型の認識を持つ企業も多そうだ。

(中川泉 編集:山川薫)

[東京 7日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



※12月11日号(12月4日発売)は「移民の歌」特集。日本はさらなる外国人労働者を受け入れるべきか? 受け入れ拡大をめぐって国会が紛糾するなか、日本の移民事情について取材を続け発信してきた望月優大氏がルポを寄稿。永住者、失踪者、労働者――今ここに確かに存在する「移民」たちのリアルを追った。

ニュース速報

ビジネス

ドイツ企業、平均11カ月後の事業正常化を予想=IF

ワールド

フィリピン、ロシア製新型コロナワクチン臨床試験を1

ビジネス

三菱商事、純利益予想は62%減 金属資源や自動車に

ワールド

北朝鮮の核関連施設、洪水で被害か=38ノース

MAGAZINE

特集:人生を変えた55冊

2020-8・11号(8/ 4発売)

コロナ自粛の夏休みは読書で自分を高めるチャンス──世界と日本の著名人が教える「価値観を揺さぶられた本

※次号は8/18(火)発売となります。

人気ランキング

  • 1

    韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる

  • 2

    バイデン陣営はこれで「ターボ全開」? 副大統領候補ハリス指名の意味

  • 3

    李登輝前総統の逝去報道──日韓の温度差

  • 4

    新型コロナワクチンが開発されても、米国の3人に1人…

  • 5

    アメリカ北東部でコロナ感染が沈静化しているのはな…

  • 6

    『ゴースト・オブ・ツシマ』でサムライ映画の世界を…

  • 7

    日本初のアフリカ人学長が「価値観」を揺さぶられた5…

  • 8

    中国、輸入冷凍食品の包装に新型コロナウイルス 一…

  • 9

    韓国・文在寅の支持率9カ月ぶりの低水準に ソウル住…

  • 10

    スウェーデンは本当に「集団免疫」を獲得したのか …

  • 1

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?

  • 2

    ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

  • 3

    トランプTikTok禁止令とTikTokの正体

  • 4

    『レオン』が描いた少女の性と「男性目線」

  • 5

    韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪…

  • 6

    陽性者急増、名古屋の医師が懸念する「市中感染」の…

  • 7

    李登輝前総統の逝去報道──日韓の温度差

  • 8

    アメリカ北東部でコロナ感染が沈静化しているのはな…

  • 9

    日本人の「集団主義」「同調圧力」には良い面も悪い…

  • 10

    【レバノン大爆発】日頃の戦争を上回る最大の悲劇に…

  • 1

    コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず

  • 2

    中国からの「謎の種」、播いたら生えてきたのは......?

  • 3

    中国から米国に「謎の種」が送りつけられている......当局は「植えないで」と呼びかけ

  • 4

    韓国、コロナショック下でなぜかレギンスが大ヒット …

  • 5

    ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

  • 6

    宇宙観測史上、最も近くで撮影された「驚異の」太陽…

  • 7

    アメリカが遂に日本政界の媚中派を名指し批判──二階…

  • 8

    戦略性を失った習近平「四面楚歌」外交の末路

  • 9

    中国のスーパースプレッダー、エレベーターに一度乗…

  • 10

    【独占】押谷仁教授が語る、PCR検査の有用性とリスク…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月