最新記事

欧州

ドイツ与党党首選、メルケル首相の「子飼いvs.宿敵」の対決

2018年12月4日(火)18時00分

11月17日、ドイツ与党・キリスト教民主同盟(CDU)は12月7─8日の党大会で新たな党首を選出する予定で、選挙戦が大詰めを迎えつつある。写真は2018年11月、デュッセルドルフで開かれた会議に出席するクランプカレンバウアー氏(左)とメルツ氏(2018年 ロイター/Thilo Schmuelgen)

ドイツ与党・キリスト教民主同盟(CDU)は12月7─8日の党大会で新たな党首を選出する予定で、選挙戦が大詰めを迎えつつある。

現在有力候補として浮上しているのは、党首辞任を表明したメルケル首相の子飼いで路線継承を掲げるアンネグレート・クランプカレンバウアー幹事長。対照的に長年にわたるメルケル氏の「宿敵」で、大幅な変革を唱える実業家のフリードリヒ・メルツ氏の2人だ。

計1001人の代議員の投票で決まる党首選挙の結果はCDUだけでなく、ドイツの将来も左右する。メルケル氏は任期まで首相を続けるとはいえ、2021年10月までに行われる次期総選挙では新党首がCDUの首相候補となるからだ。

世論調査を見ると、7年近くザールラント州の首相を務めたクランプカレンバウアー氏が支持率で首位に立っているものの、合意形成を重視して妥協を好むメルケル氏の政治手法と決別したいと考えるCDU党員の支持を受けたメルツ氏も僅差で追っている。

11月28日にメルツ氏の地盤であるノルトライン・ウェストファーレン州のデュッセルドルフで開かれた討論会では、クランプカレンバウアー氏よりもメルツ氏が聴衆の心をつかんだ。

メルツ氏は、世論調査における支持率低下が続く事態を嘆き「われわれはこの流れに抗し、せき止めて上向かせなければならない」と強く訴えかけた。またメルケル氏の政治手法について「われわれははっきりした立場を取ってこなかった」と暗に皮肉った。

一方、クランプカレンバウアー氏はこの討論会でこそ不利な状況に置かれたとはいえ、これまでにメルツ氏に比べて庶民的な側面を打ち出すことで支持獲得につなげてきた。米資産運用会社ブラックロックのドイツ部門を率いるメルツ氏を念頭に、クランプカレンバウアー氏は「人生の目的が本当に富豪になるかどうか私には分からない」と発言している。

メルツ氏は2000─02年にはCDUの下院議員団長を務めた後、02年にメルケル氏との権力闘争に敗れ、09年以降は議席を持たずに経済の分野に身を置いていたが、ここにきて政治活動を再開した。

最近では、ナチスの犯罪への償いとしてドイツ憲法が規定する全ての「政治的被迫害者」の庇護に疑問を呈したことや、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の連邦および各州議会進出にCDUが手をこまねいているだけであることへの批判が注目を集めている。

ただこれらの発言は、クランプカレンバウアー氏にとって格好の攻撃材料になった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:戦時下でも「物流を止めるな」 ウクライナ

ワールド

メキシコ南部でM6.5の地震、首都でも揺れ 大統領

ワールド

再送ウクライナ北東部ハルキウの集合住宅に攻撃、2人

ビジネス

米国株式市場=5営業ぶり反発、ダウ319ドル高 半
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 4
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 5
    【現地発レポート】米株市場は「個人投資家の黄金時…
  • 6
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 3
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中