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「トランプ信者」は共和党支持者になるか 中間選挙で結束試されるMAGA運動とは?

2018年11月7日(水)12時00分

突出した「トランプ効果」

トランプ大統領が自身の支持基盤において候補者を支援する力は、単に世論調査での支持率を跳ね上げるだけにとどまらない。

ロイターの取材によれば、大統領が推薦した候補の陣営はほぼすべて、トランプ氏による支持表明を受けた直後、ボランティア活動への申し出が急増したと語り、これを「トランプ効果」と呼んだ。

ペンシルバニア州選出のマイク・ケリー下院議員によれば、トランプ氏が非常に高い人気を誇る同州西部における選挙運動は、MAGAを支持するボランティアに大きく依存しているという。無党派グループ「PlanScore.org」によれば、今回再編されたケリー議員の選挙区には、2016年の大統領選挙でトランプ氏が実に20ポイントもの差をつけた郡が複数含まれている。

ケリー氏は10月10日のエリーでの集会に大統領とともに参加する準備を進める中で、「(トランプ氏は)時々、必要なアドレナリン注射を打ってくれる」とロイターに語った。

トランプ氏が強さを発揮する地域で支持者動員の主力となっているのは、使える選挙資金の額に制約を受けない特別政治活動委員会(スーパーPAC)である「アメリカ・ファースト・アクション」だ。

同グループは、上院の激戦州であるアリゾナ、モンタナ、インディアナ、ミズーリ、ノースダコタの5州、さらにはテキサス、ミネソタ、メーン、ミシガン、ウェストバージニア、ニューヨーク、ペンシルバニア、ネバダ、ノースカロライナ各州における11の下院選挙区で、電話での投票依頼とメディア広告に2600万ドル(約29億円)以上を投じた。

また、同グループは忠実なトランプ支持者によって運営され、共和党の熱心な支持者であるカジノ産業の大物シェルドン・アデルソン氏やスティーブ・ウィン氏、鉱山エンジニアで経営者のロバート・マレー氏などからの巨額献金に頼っている。

ホワイトハウスの政務局長、ビル・ステピアン氏は先月1日付の下院議員候補陣営に宛てた通達で、MAGA支持者のサポートを得る最善の方法は、トランプ氏に「緊密かつ明確、大胆に」同調することだ、とアドバイスした。「(トランプ大統領には)自分が支持し、自分を支持してくれる候補者のために、自身の陣営の能力と人手を投じる用意と意志、能力がある」と同氏は記している。

全国レベルで共和党幹部は、トランプ大統領に同調し賛同する態勢をとっており、中間選挙に向けた大統領のナショナリスト的な主張を日々繰り返している。だが、大統領が有権者をつかみ切れていない地域では、大統領支持がもたらす結果はまちまちだ。

2016年の選挙でトランプ氏が1ポイント差で勝ったフロリダ州の州知事選では、トランプ氏は党内予備選の前から忠実なトランプ支持者であるロン・デサンティス前下院議員の支持を表明していた。

だが今や、フロリダ州では過去20年、民主党が州知事選で勝てていないにもかかわらず、デサンティス候補は本選挙に向けた世論調査で、民主党の州知事候補でタラハシー市長のアンドリュー・ギラム氏に対してやや劣勢となっている。

先月ロイターが行った分析では、穏健派の有権者がトランプ氏に醒めた目を向けている地域では、複数の共和党候補が大統領から距離を取っていることが明らかになった。

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