最新記事

日本の宇宙開発

「こうのとり」7号機、小型回収カプセルの回収に成功、その意義とは...

2018年11月15日(木)17時00分
鳥嶋真也

宇宙から帰還し、海上から回収された「こうのとり」7号機の小型回収カプセル (C) JAXA

<宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機から、小型回収カプセルの回収に成功した。その成果の意義とは...>

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2018年11月11日、国際宇宙ステーション(ISS)に補給物資を送り届けた宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機を大気圏に落下させ、運用を終了した。

「こうのとり」7号機には、初めてとなる小型回収カプセルが搭載されており、大気圏再突入の熱に耐え、太平洋上に着水。無事に回収に成功した。

このカプセルによって、ISSから研究成果・試料を持ち帰ることができるようになり、さらにその技術は、将来の有人宇宙船の開発にもつながると期待されている。

「こうのとり」7号機

「こうのとり」はJAXAが開発した無人の補給機で、ISSに物資を補給することを目的としている。1号機(技術実証機)は2009年に打ち上げられ、それ以来、今回の7号機まですべて成功している。

宇宙を飛ぶISSの運用にとって補給物資はまさに命綱であり、その安定的な運用と維持のため、そして運用を通じた国際貢献という点でも、「こうのとり」のミッションは非常に重要なものとなっている。

今回の「こうのとり」7号機は、9月23日に種子島宇宙センターから打ち上げられ、27日にISSに到着。滞在する宇宙飛行士によって、物資の搬出作業と、ISSで発生したゴミの搭載作業が行われた。

そして11月7日、「こうのとり」7号機はISSから分離され、地球に落下するコースに乗った。「こうのとり」には大気圏を突破する性能はないため、わざと壊れるように大気圏に落とし、ISSで積んだゴミとともに燃やして処分することになっている。

11月11日6時38分ごろ、「こうのとり」7号機は大気圏に再突入し、機体は処分された。機体の大半は燃え尽き、燃え残った破片があったとしても、すべて海に着水したものとみられる。

space1115002.jpg

国際宇宙ステーションから撮影された「こうのとり」7号機 (C) NASA

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税コストで

ビジネス

米3月建設支出、0.5%減 ローン金利高騰や関税が

ワールド

ウォルツ米大統領補佐官が辞任へ=関係筋

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、2カ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 7
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中