最新記事

日本経済

飲料自販機「冬の時代」──物流コスト高にコンビニコーヒーの人気 衰退回避へAI投入も

2018年9月28日(金)14時05分

働き方改革も影響

また、固定客があったオフィスの飲料自販機も、喫煙者減少によるたばこ部屋の減少や働き方改革による残業減、テレワークの拡大などが逆風に働く。

こうした傾向がくっきり現れたのがコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングスの1―6月期決算。同社は、缶コーヒー、ボトル缶コーヒーが自販機に占める割合が80%と高く、自販機チャネルでの販売数量が前年同期比6%減と大きく落ち込んだ。「クラフトボス」のヒットに対し、同じくペットボトルコーヒーの「ジョージアジャパンクラフトマン」の投入が遅れたためだ。

吉松民雄社長は「想定している以上に缶からペットボトルに移行している」と振り返り「抱えている自販機の不振は、コーヒーカテゴリーが全てであり、それを解決することが近道だ」と話す。

飲料総研(東京都新宿区)によると、2017年末の自販機稼動台数は、コカ・コーラグループが79万台、サントリーが43万6000台、アサヒ飲料が28万6000台、キリンビバレッジが22万3000台。全国で5万5000店舗のコンビニ店舗網と比べても、台数の多さは目を引く。

自販機は年中無休の優良販売店

コンビニやドラッグストア、EC(電子商取引)など販売チャネルの多様化により、2001年には39%あった飲料の自販機販売比率は、17年には28%にまで低下した。しかし、自販機チャネルの販売数量の減少に対して、自販機台数が大きく減少しなかったのは、飲料メーカーにとって外すことのできない販路となっているためだ。

キリングループの清涼飲料会社、キリンビバレッジの自動販売機事業を担うキリンビバレッジバリューベンダー(東京都中野区)の村山浩義・営業企画部長は「自販機は、キリンが売りたいブランドを24時間、年中無休で売ってくれる言わば販売店として位置付けられる。自社ブランドを育成でき、価格も比較的崩れいていないので、きちんとフィーが入ってくる」と話す。

飲料総研の宮下和浩取締役は、清涼飲料業界は「利益率の高い自販機で利益を得て、量販店の大型ペットボトルの安売りの原資にする、というビジネスモデルだ」と指摘する。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中