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日露平和条約締結は日本の決断次第──そろそろ2島返還で決着の時だ

2018年9月14日(金)16時00分
古谷経衡(文筆家)

ただし、北海道の付属島であり千島列島ではない歯舞群島・色丹の2島なら辛うじて返しても良い、というのがソ連を継承したロシアの最大限度の譲歩で、これ以上の譲歩は寸土であっても不可能である。

「北方新時代」で、北極航路やシベリア地下資源にも期待高まる

地球温暖化によって北極海の氷が溶融すると、「北極航路」の通行が可能となる。つまり氷が溶けることによって、日本から直接、北極海を通ってカナダや北欧に航行することが出来る時代がやってくるのだ。サハリンを始め、シベリアにはまだ未発見、未開拓の地下資源が眠っている。両国の平和条約締結(国境線画定)がなければ、このような有望な資源と可能性を持つロシアとの友好関係の基礎は築けない。

日本が第二次大戦に敗北したことは事実だし、その末期にソ連が火事場泥棒的に樺太や千島列島を奪っていったのは事実だが、しかし残念だが、悔しいけれどもそれが戦争に負けるということで、「第二次大戦の結果」なのである。1956年の『日ソ共同宣言』の履行をいまこそ決断し、2島返還で領土問題を最終的且つ不可逆に解決させ、「北方新時代」の扉を開くべきであると筆者は信ずる。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

furuya-profile.jpg[執筆者]
古谷経衡(ふるやつねひら)文筆家。1982年北海道生まれ。立命館大文学部卒。日本ペンクラブ正会員、NPO法人江東映像文化振興事業団理事長。著書に「日本を蝕む『極論』の正体」 (新潮新書)の他、「草食系のための対米自立論」(小学館)、「ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか」(コアマガジン)、「左翼も右翼もウソばかり」(新潮社)、「ネット右翼の終わり」(晶文社)、「戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか」(イーストプレス)など多数。最新刊に初の長編小説「愛国奴」、「女政治家の通信簿 (小学館新書)

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