最新記事

ホワイトハウス

トランプ政権内に「抵抗勢力」 暴露本に続き高官がNYT紙へ寄稿

2018年9月6日(木)08時54分

9月5日、トランプ政権の高官は同日付の米ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙に匿名を条件に寄稿し、同政権の多数の高官がトランプ大統領の言動の危うさを認識し、同氏が掲げる一部政策について実現を阻止しようと政権内で画策してきたと暴露した。ホワイトハウスで記者団に語りかけるトランプ氏(2018年 ロイター/Leah Millis)

トランプ政権の高官は5日付の米ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙に匿名を条件に寄稿し、同政権の多数の高官がトランプ大統領の言動の危うさを認識し、同氏が掲げる一部政策について実現を阻止しようと政権内で画策してきたと暴露した。

また、閣僚の間で当初、トランプ大統領の罷免につながる措置を取る可能性が「ささやかれた」が、憲法の危機につながる恐れがあるため思いとどまったとしている。

NYT紙は政府当局者が自らの意見を記したコラムを匿名を条件に掲載するのは異例だと説明。名前を公表すれば同高官が失職する可能性があるとした。

トランプ大統領はホワイトハウスで行われたイベントで同コラムについて問われ、「臆病な論説記事」だと批判し、NYT紙は「堕落している」と攻撃した。その上で、政権のこれまでの経済面での功績を列挙し、自身のリーダーシップの証しだと強調した。

ホワイトハウスのサンダース報道官は声明を出し、コラムの著者は臆病者で、辞任すべきと表明した。

同コラムの掲載に先立つ4日には、米紙ワシントン・ポストが著名ジャーナリストのボブ・ウッドワード氏が近く出版するトランプ米政権の内幕を描いた著書の抜粋を掲載しており、政権内の混乱状態が描かれている。

NYT紙のコラムは「多くの人が不安定な状況を目の当たりにしたため、閣僚の間では当初、(大統領が職務遂行不能に陥った場合に適用される)憲法修正第25条を発動させ、大統領の罷免に向けた複雑な手続きを始める可能性がささやかれた。ただ、憲法の危機を引き起こすことを望む者は1人としていなかった」と記してある。

「このため、いずれ何らかの形で政権が終わるまで、われわれは政権を正しい方向に導くためになし得る限りのことを行う」と続けた。

「われわれは同政権が成功することを望んでいるし、政権の多くの政策が既に、米国により一層の安全と繁栄をもたらしたと考えている」とした上で、「ただ、われわれは何よりもまず、国に対して職務を果たす必要があると考える。大統領は国の健全性に有害な言動を続けている」と指摘した。

[ワシントン 5日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中