最新記事

都市開発

マレーシア、マハティール首相が都市開発の外国人物件購入を禁止 狙いは中国人投資家排除?

2018年8月28日(火)18時40分
大塚智彦(PanAsiaNews)

中国系企業による都市開発「フォレスト・シティー」で建設中のビル Iskandar Property Guru / YouTube

<今年5月の政権交代以降、前政権の中国寄りの政策見直しを進めているマハティール。今度は中国人投資家による買い占めが続く都市開発で、外国からの投資にストップをかけた>

マレーシアのマハティール首相は8月27日、クアラルンプールでの記者会見で同国最南部ジョホール州ジョホールバルの西側、シンガポールとの国境に近い地区で開発が進む巨大都市開発構想「フォレスト・シティー」で外国人が不動産物件を購入することを禁じる方針を明らかにした。

「フォレスト・シティー」構想は国境の海を埋め立てて人口島を設置、約20万平方km(東京都港区とほぼ同面積)という広大な土地に住居、商業施設、行政・教育施設、エンターテインメント施設などを建設する計画で、最終的に約70万人が働き生活する都市が生まれるという巨大プロジェクト。総額約1000億ドル(約10兆円)の投資で2026年の本格稼働、2036年頃の最終的な完成を目指している。

このプロジェクトは中国系の大手デベロッパー「カントリー・ガーデン・パシフィック・ビュー」が中心となって担当し、2016年2月には販売ギャラリーを開設するとともにすでに一部で建設と販売が始まっている。

計画では敷地内に約10万戸の住宅物件を建設する予定で、すでに完成前物件として予約販売が始まっており、これまでに20数棟分が完売したといわれている。

買い漁りに群がる中国人投資家

中国系の企業が関与していることから、住居部分となるコンドミニウムは中国国内でも予約販売されており、中国人資産家などが投資目的でどんどん買い漁っているという。

日本の海外不動産情報を扱うウェブサイトなどによると、中国の広州からジョホールまで格安航空の直行便が飛び、建設予定地をバスで訪れて見学、そのまま販売ギャラリーで成約するような光景が繰り広げられていたという。

この構想はマレーシアのナジブ前首相が中国の習近平政権が進める「一帯一路」構想に強い関心と支持を示したことと無関係ではなく、「フォレスト・シティー」はクアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道構想ともリンクしていた。

東南アジアで航空ネットワークのハブ、金融の中心地、最先端の科学技術研究、情報通信の拠点であるシンガポールへのアクセスのよさ(国境まで約2km)も「フォレスト・シティー」の大きな利点として宣伝されていた。


巨大都市開発「フォレスト・シティー」の紹介ビデオ Iskandar Property Guru / YouTube

MAGAZINE

特集:世界を変えるブロックチェーン起業

2019-4・23号(4/16発売)

難民にデジタルIDを与え、医療情報や物流を正しく管理── 分散型台帳を使う新事業・新ビジネスが各国で始まった

人気ランキング

  • 1

    巨大なホホジロザメが一匹残らず逃げる相手は

  • 2

    「心の専門家」に、ピエール瀧氏を「分析」させるメディアの罪

  • 3

    「美人銭湯絵師」の盗作疑惑に見る「虚像」による文化破壊

  • 4

    シャチがホホジロザメを餌にし始めた

  • 5

    現代だからこそ! 5歳で迷子になった女性が13年経て…

  • 6

    謎のシャチが見つかった?未知の4種目の可能性

  • 7

    インドネシア大統領選、敗北認めぬ候補支持者が大規模…

  • 8

    ボストン・ダイナミクスの四足歩行ロボット、10台で…

  • 9

    米朝対話で狭まる北朝鮮の選択肢

  • 10

    [動画]クジラがサメの襲撃から人間を救った

  • 1

    巨大なホホジロザメが一匹残らず逃げる相手は

  • 2

    シャチがホホジロザメを餌にし始めた

  • 3

    謎のシャチが見つかった?未知の4種目の可能性

  • 4

    「美人銭湯絵師」の盗作疑惑に見る「虚像」による文…

  • 5

    [動画]クジラがサメの襲撃から人間を救った

  • 6

    女性の体は、弱い精子をブロックする驚くほど洗練さ…

  • 7

    現代だからこそ! 5歳で迷子になった女性が13年経て…

  • 8

    「心の専門家」に、ピエール瀧氏を「分析」させるメ…

  • 9

    子供の亡骸を16日間も離さない母シャチの悲嘆「もう…

  • 10

    墜落したF35、1機分のお金で何ができたか―「欠陥商品…

  • 1

    巨大なホホジロザメが一匹残らず逃げる相手は

  • 2

    無残、少女の足の裏に無数の寄生虫!

  • 3

    シャチがホホジロザメを餌にし始めた

  • 4

    人類史上最も残虐な処刑は「首吊り、内臓えぐり、仕…

  • 5

    女性の体は、弱い精子をブロックする驚くほど洗練さ…

  • 6

    「令和」に関して炎上する中国ネット

  • 7

    謎のシャチが見つかった?未知の4種目の可能性

  • 8

    映画『ボヘミアン・ラプソディ』が語らなかったフレ…

  • 9

    大坂なおみ選手の二重国籍が認められた!

  • 10

    「深圳すごい、日本負けた」の嘘──中国の日本人経営…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
広告営業部員ほか求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年4月
  • 2019年3月
  • 2019年2月
  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月