中東緊迫化、利上げに前向きな意見相次ぐ 基調物価の上振れを警戒=日銀3月会合
2025年1月、日銀本店前で撮影。 REUTERS/Issei Kato
Takahiko Wada
[東京 30日 ロイター] - 日銀が18、19日に開いた金融政策決定会合で、中東情勢の緊迫化を受けて原油価格が高騰する中、景気の下振れよりも基調物価の上振れを警戒し、利上げ継続に前向きな意見が相次いでいたことが明らかになった。ある委員は「基調的な物価上昇率が2%を超えて上昇し続けることは避けなければならない」と述べた上で、経済環境や中小企業の賃上げスタンスが大きく崩れる兆しが見られなければ「躊躇なく利上げに進むことが必要」と主張した。
日銀が30日、決定会合で出された主な意見を公表した。今回の決定会合は、米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃を受けて経済・物価の先行きを巡る不確実性が高まり、金融市場が動揺する中で開かれた。賛成多数で政策金利の据え置きを決めたが、委員からは、市場のセンチメントが大幅に悪化している状況の中で、今回は政策金利は「現状維持で良い」との意見が出ていた。
先行きについては、利上げに前向きな意見が目立った。中東情勢は物価高と経済の下押しにつながり得るものの、「現在の金融環境のもとでは、物価の上昇基調は維持されると見込まれる」ほか、人手不足による賃上げの継続や企業の投資意欲の高さを踏まえれば「今後も間を長く空けずに金融緩和の度合いの調整を検討することになる」との声も上がっていた。
情勢次第で、利上げ幅を0.25%より大きくすることや中立金利を上回る水準までの利上げが必要になる可能性があるとの考えを示す委員もあった。ある委員は、中立金利までまだまだ距離がある状況で金融政策が後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」に陥ると、「急激かつ大幅な金融引き締めを余儀なくされ、わが国経済に大きなショックを与えてしまう」として、中東情勢の進展や短観、支店長会議での報告、企業ヒアリングなどを踏まえ「利上げ幅を含め、利上げについて検討したい」と述べた。
仮に中東情勢の緊迫が長期化する場合には「従来の想定よりも利上げを加速させ、金融環境を中立ないし引き締めに持っていく必要性がないかにも注意を払っていくことが適当だ」との意見もあった。
今回の中東情勢緊迫化は、日本の企業行動が変わり、値上げや賃上げに積極的になる中で起きた。ある委員は「海外要因による二次的波及、基調的物価上昇が生じやすく、意図せざるビハインド・ザ・カーブが生じるリスクがある」と指摘。原油価格上昇で将来的には景気下押しがあるとしても、「当面は二次的波及やインフレ期待の上昇に伴う物価上振れを重視した対応が必要だ」と述べた。
金融政策によってまずは物価を安定させ、それによって景気の下振れリスクを最小限に抑えることが、日銀法が定める「物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資する」という理念に沿った行動だ、との発言もあった。
意見の中には「一過性のインフレに対しては、むやみに動かずにコストプッシュ要因の剥落を待つことが基本」とする意見もあったが、こう発言した委員は「過度な円安進行によりコストプッシュがさらに深刻化する場合、あるいは、二次的波及の本格化により賃金が上振れする場合には、金融引き締めが必要になる可能性もある」と付言した。





