最新記事

宇宙ベンチャー

インターステラテクノロジズ、ロケット打ち上げに失敗も「次につながる失敗」

2018年7月3日(火)19時30分
鳥嶋真也

打ち上げ直後に墜落し、炎上した「MOMO」2号機 提供: インターステラテクノロジズ

北海道の宇宙ベンチャー「インターステラテクノロジズ」は2018年6月30日、観測ロケット「MOMO」2号機の打ち上げ実験を実施した。しかし、打ち上げ直後に墜落。機体は大きく炎上し、失敗に終わった。

だが、関係者らは「次につながる失敗」と語るなど、原因究明と挑戦の継続に向けたモチベーションは高い。

MOMO 2号機、墜落炎上

「MOMO」はインターステラテクノロジズ(IST)が開発した小型ロケットで、高度100kmの宇宙空間に、観測機器や実験装置などを打ち上げることを目的としている。こうしたロケットを「観測ロケット」と呼び、人工衛星を打ち上げるロケットとは異なる需要、市場がある。

同社はまずMOMOを完成、事業化し、ゆくゆくは小型の人工衛星を打ち上げられるロケット「ZERO」を開発することを目指している。小型衛星を打ち上げられるロケットは、世界的に潜在的な需要があると認識されており、開発競争が激しい分野でもあり、ISTもその競争に加わり、市場で一定のシェアを握ることを狙っている。

MOMOのような観測ロケットは、そうした小型衛星を打ち上げられるロケットの開発に向けた習作、一里塚になるため、その点でも重要な意味がある。

MOMOの1号機は2017年7月に打ち上げられるも、機体のトラブルにより、宇宙へは到達できなかった。ただ、エンジンなど一部の技術の実証には成功。同社はトラブルが起きた箇所を改良し、新たに2号機を製造した。

2号機の打ち上げは当初、今年4月に予定されていたものの、機体に別のトラブルが見つかり延期。改修やリハーサルを行うなど、仕切り直しての今回の挑戦となった。

MOMO 2号機は2018年6月30日5時30分、北海道大樹町にある発射場から飛び立った。しかし、その直後に墜落、炎上。打ち上げは失敗に終わった。

torisima002.jpgMOMO 2号機打ち上げ時の管制室の様子。墜落の衝撃音にそなえ、耳をふさいでいる 提供: インターステラテクノロジズ

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中