最新記事

ハッキング

テロリストが旅客機を遠隔ハイジャックする日

2018年7月2日(月)10時15分
ジェーソン・マードック

きっかけは、同省のサイバー専門家がボーイング757型機の電子機器をハッキングする実験に成功したことだった。

同省科学技術部門で航空プログラム責任者を務めるロバート・ヒッキーは、この実験の多くの部分がまだ機密扱いだとしつつも、遠からずハッキングの方法論を確立できるだろうとの見通しを示している。「誰の手助けも得ず、機外から2日間で(旅客機のシステムへの)侵入に成功した」。具体的には、高周波通信を通じてハッキングを行ったとのことだ。

ボーイング社は、「(ヒッキーの実験で)旅客機の航行制御システムはハッキングされていない」と強調している。しかし、テロリストが機外から航空機をハイジャックできる可能性を明らかにした実験結果は、極めて衝撃的だ。

「今日の世界では地球上を飛び交うデジタルデータが増えるばかりだ」と、サンタマータは14年の報告書で記している。「通信回線を制御する者が強大な力を握ることは間違いない。通信回線を混乱させたり、通信の内容を調べたり、修正したり、通信のルートを変更したりできる者は......通信監視やサイバー攻撃を行うことが可能だ」

サンタマータは、報告書の中でこうも述べている。「ことセキュリティーに関しては、安全だろう、と感覚に頼ることはもう許されない」

<本誌2018年7月3日号掲載>

ニューズウィーク日本版 AIの6原則
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月22日号(7月15日発売)は「AIの6原則」特集。加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」/仕事・学習で最適化する6つのルールとは


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏の移民政策、支持が最低水準に=ロイター/

ビジネス

セブン&アイ株を売買停止、買収提案撤回の確認のため

ビジネス

クシュタール、セブン&アイへの買収提案撤回 真摯な

ビジネス

関税で物価圧力、インフレ転換点の可能性=米アトラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 2
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏にも送電開始「驚きの発電法」とは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 5
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 6
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 7
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 10
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 6
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 7
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 7
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 8
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 9
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中