最新記事

米朝首脳会談

そっくりさんから便乗バーガーやTシャツまで シンガポールの米朝会談狂想曲

2018年6月12日(火)16時31分
大塚智彦(PanAsiaNews)

全世界が注目する世紀のイベント開催でシンガポールは熱気に包まれた。写真はシンガポールに現れた両首脳のそっくりさん。 Tyrone SiuHEADLINE - REUTERS

<全世界が注目する世紀のイベントの開催地シンガポールは、6月12日をどう迎えたのか?>

6月12日にシンガポールで行われたトランプ米大統領と金正恩・朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談は「誰もが予想した以上の成果があった」とトランプ大統領が自賛するほど成功裡にかつ滞りなく終了した模様だ。

金委員長も11日夜にはマリーナベイサンズなどの観光地を訪問するなどシンガポールの短い滞在をそれなりに楽しんだようで、歴史的な首脳会談は事前の事務方による周到な準備もあり、双方から通訳だけが同席した1対1の会談、その後の関係閣僚を交えた拡大会談を経て合意文書の調印にまで漕ぎつけることができた。

両首脳とその関係者、警備陣を迎えた都市国家であり観光立国でもあるシンガポールは10日から厳しい交通規制が敷かれ、両首脳が滞在するシャングリラホテル、セントレジスホテル周辺での検問、チャンギ空港での手荷物検査など最高度の警戒が続き、市民や観光客は影響を受けた。

そっくりさんからTシャツ、特製バーガーまで

首脳会談に先立ってトランプ大統領、金委員長の2人のそっくりさんが繁華街のブギスや観光地マーライオン周辺に登場して気軽に写真撮影に応じるなどの平和的光景も見られたが、周囲には目を光らせる警察が配置されていた。

両首脳の似顔絵が描かれた1枚20シンガポールドル(約1600円)のお土産用Tシャツはこの歴史的イベントの期間に居合わせた観光客には人気で飛ぶように売れていた。表現の自由には制限があるシンガポールだが、今回の米朝首脳会談の開催場所として選ばれたことを「誇り」とする政府だけに、Tシャツもそっくりさんも特に当局からお咎めはなかったという。

ロイター通信などによると市内のバーガーチェーン店「ウルフ・バーガー」は米製のチェダーチーズと韓国産のブルコギを盛り込んだ特製バーガー「世界平和バーガー」を売り出したほか、メキシコ料理店「ルチャ・ロコ」では「ロケットマン」「エル・トランポ」という名前のタコスを販売しているという。「ロケットマン」は2017年にミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮の金委員長をトランプ大統領が「小さなロケットマン」と呼んだことに由来している。

さらにトランプ大統領の好物コーラと韓国の焼酎で創った特製カクテルを販売するバーやシンガポール料理の「ナシレマ」に米国産ビーフと韓国のキムチを加えた特別メニューを売る店も登場した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン最高指導者「米国が再び攻撃すれば反撃」、停戦

ビジネス

英シェル、BP買収報道を全面否定 英規則で今後6カ

ビジネス

中東紛争、金融市場は冷静に反応 成長に悪影響も=E

ワールド

ウクライナ、北部スムイ州でロシアの進軍阻止 総司令
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係・仕事で後悔しないために
  • 3
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 4
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 5
    人口世界一のインドに迫る少子高齢化の波、学校閉鎖…
  • 6
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 7
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 8
    「子どもが花嫁にされそうに...」ディズニーランド・…
  • 9
    都議選千代田区選挙区を制した「ユーチューバー」佐…
  • 10
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 8
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 9
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中