最新記事

米朝首脳会談

そっくりさんから便乗バーガーやTシャツまで シンガポールの米朝会談狂想曲

2018年6月12日(火)16時31分
大塚智彦(PanAsiaNews)

マスコミも激しい取材合戦



金正恩が行くところには常にマスコミのカメラが押し寄せた Channel NewsAsia / YouTube

約3000人という内外のマスコミ陣もシンガポール当局、米朝両国の警備陣などの厳しい規制の中、激しい取材合戦を繰り広げた。会談後の合意書署名式が行われたカペラホテルの一室ではカメラマンらメディアを北朝鮮側の警備陣が仕切ろうとするのを米、シンガポール側が阻止する様子も「生中継」された。また特権的立場を利用して両首脳に迫る北朝鮮側のカメラマンを米シークレットサービスが押し戻す様子も映し出されるなど、メディア規制を巡る対立では米朝の警備陣の凌ぎあいもうかがえた。

市民生活への影響についてシンガポールの独占的メディア「メディアコープ」のテレビ局「チャンネル・ニュース・アジア」は繰り返し「マイナー・インコンビニエンス(少ない不便)」と控えめに表現していたのが印象的だった。

一方で英BBC放送はシンガポールからの生中継で金委員長を「ディクテイタ--(独裁者)」という単語を使って表現するなど、国による立場の違いが米朝首脳会談を伝える報道ぶりにも表れていた。

北朝鮮を何度も訪問し、金委員長と個人的親交のある米バスケットボールの元スター、デニス・ロッドマン氏は12日の首脳会談に合わせてシンガポール入りした。同氏は米朝双方から特に招待を受けた訳ではないが、シンガポールから米テレビCNNのインタビューに応じていた。

こうしたシンガポールの数々の米朝会談狂想曲は今後もしばらく続けられる見通しで、シンガポール観光の新たな「目玉」として人気を集めることになりそうだ。


otsuka-profile.jpg[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など

ニューズウィーク日本版 BTS再始動
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年4月7号(3月31日発売)は「日本企業に迫る サステナビリティ新基準」特集。国際基準の情報開示や多様な認証制度。本当の「持続可能性」が問われる時代へ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ASEAN首脳会議、予定通り5月開催 内容は最小限

ビジネス

中東緊迫化、利上げに前向きな意見相次ぐ 基調物価の

ビジネス

シティ、米地銀買収検討との報道否定 「有機的成長に

ビジネス

短期金利が適切に調整されず、物価上振れと市場認識な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 2
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 3
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のSNS動画が拡散、動物園で一体何が?
  • 4
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 7
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    カタール首相、偶然のカメラアングルのせいで「魔法…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中