最新記事

女性問題

「求人:女性トレーダー」 金融界の男社会は変わるか

2018年6月21日(木)10時00分

メンター制とネットワーク

バークレイズが導入し、前出のカラニさんが協力している「ソフォモア・スプリングボード(2年生の跳躍)」プログラムは、トレーディング担当の女性を増やそうと最近始められた取り組みの一例だ。

シティグループでは、女性をターゲットにした大学生の採用活動を行い、面接の特訓も行っている。JPモルガン・チェースはこの2年、「ウィメン・フー・トレード(トレードする女性たち)」と呼ばれる社内プログラムを実施し、採用候補者も含めたさまざまなレベルの女性トレーダーにネットワーク構築の機会を提供している。

「アナリストに女性の採用を増やすことについて、われわれは改善している」と、JPモルガンで通貨や新興市場の共同責任者を務め、同プログラムの推進役でもあるクラウディア・ジュリー氏は言う。JPモルガンでは2016年以降、同プログラムを通じ30人程度の女性を採用したという。

ゴールドマン・サックス・グループ は昨年、ロンドンで「トレーダー・アカデミー」を始め、女子大学生16人を対象に、8カ月間の助言活動やネットワーク構築、職場体験などの機会を提供した。今年は同プログラムを米州などでも実施し、その後アジアでも開始する予定だ。

ゴールドマン・サックスは、いずれ従業員全体の半数を女性にしたいとしているが、現状はその目標からは程遠いことを認めている。

「トレーディングの観点から、女性の採用は特にこれまで不足していた」と、ゴールドマン・サックスで欧州や中東、アフリカでの新卒採用を担当するジャニン・グラセンバーグ氏は言う。

金融各社は女性比率を増やそうと力を入れている。ある銀行などは、若い女性トレーダーを登場させれば競合相手に引き抜かれる恐れがあるとして、インタビューの申し込みを断ったほどだ。

株主からの圧力を別にしても、マネジャーや一部の研究は、女性を増やすことはビジネス面でも合理的だと指摘する。

ロンドンを拠点とするスタートアップ企業トレーディングハブのデービッド・ヘスキース最高経営責任者(CEO)によると、同社が採用活動の一環で2014年と2015年に数百人のインターンを対象に実施したトレーディングのシミュレーションでは、女性の方が売買の回数が少なく、取るリスクも少なかった。だが女性は、ルールに違反する回数も男性の半分以下だったという。

総合的にみて、チームに女性が多い方が、仲介手数料や損失引当金、罰金などの面でコストを節約できる可能性が示されたという。

「一部の社が、数億ドル単位の罰金を支払っていることを考えれば、すごいことだ」と、へスキース氏は言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中