最新記事

韓国社会

デッドプールからセウォル号遺族までディスる韓国ネットの闇「イルベ」とは

2018年6月15日(金)20時30分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)

ネット上だけではなくリアル社会でもデマを流すなど問題を起こす「イルベ」。写真はタイムズスクエアに流された故・盧武鉉元大統領のニセ広告 (c) YTN / YouTube

<本人認証のシステムが導入されて、あらゆるネットサービスが充実している韓国。だが、一方では過激な闇の世界も存在している──>

日本でも6月1日に公開された「デッドプール2」。スーパーヒーローもの全盛期の昨今、一風変わった無責任おふざけヒーローとして根強いファン層を持つ作品だ。韓国でもスーパーヒーローものは人気のジャンルで、今回の韓国封切時には主人公を演じたハリウッド俳優ライアン・レイノルズが訪韓。バラエティー歌番組「覆面歌王 King of Masked」に出演し、その歌声を披露するなど話題となった。おかげで映画もヒットし封切り初日から5日間は観客動員トップとなり、15日現在で377万人動員のヒットとなっている。

さて、前作パート1は2年前の2016年に公開されたのだが、その際ニュースとなったのがポスターの著作権問題である。普通、スーパーヒーロー物の映画と言えば派手な背景に、主役が中央でかっこよくポーズを決めているものが多いが、デッドプールに関しては、シンプルに白の背景に主人公が可愛いポーズで振り返っているデザインだった。

このポスターの一部、デッドプールの足のバックル部分に手を加えられた"フェイクバージョン"が高画質でネット上に流されてしまったのだ。ポスターを検索すると検索サイトの上位に"フェイクバージョン"が表示され、映画ファンを混乱させることとなり、広報を担当した会社オールザットシネマ社は「著作権問題にかかわる」として注意を呼び掛ける事態となった。この騒ぎの犯人こそ、韓国の2ちゃんねるとも言われる「イルベ」の人びとだ。

「イルベ(일베)」とは、ネットコミュニティーサイト「日刊ベスト貯蔵所(일베저장소)」の略である。2010年に立ち上げられ、元々は「DCインサイド」という別サイトのコメディプログラム部門の一部が分裂し活動を始めた。問題となったデッドプールのポスターは、足バックル部分にㅇㅂが刻まれていた。これは彼らの名前「イルベ」のハングル頭文字を取ってあらわしたものである。

デッドプールに限らず、他にもイルベたちによって、様々ないたずらがされてきた。日本でも公開された「プリースト 悪魔を葬る者」「暗殺」「王の運命 歴史を変えた八日間」などを含む多くの映画もその対象にされてきた。主にイルベのハングルイニシャルや、イルベを手で表したマークを合成したものだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ハーバード大に10億ドル損賠求める投稿

ビジネス

米印貿易合意でインド市場急伸、株式・ルピーが大幅高

ビジネス

川崎汽船、通期の純利益予想を上方修正 市場予想上回

ビジネス

日経平均は急反発、史上最高値を更新 好材料重なり安
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗り物から「勝手に退出」する客の映像にSNS批判殺到
  • 2
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 3
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 7
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」…
  • 8
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 9
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 10
    共和党の牙城が崩れた? テキサス州で民主党が数十…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中