最新記事

ソーシャルメディア

フェイスブックはなぜ全米を激怒させたのか

2018年4月12日(木)16時47分
アレックス・ペントランド(MIT教授)、デービッド・シュリアー(ディスティルド・アナリティクスCEO)

元幹部らが嘆く現状

フェイスブックが事業の最適化のために使用したAI(人工知能)技術は、社会的便益と弊害両方の評価に使える。マサチューセッツ工科大学(MIT)が開発した「社会物理学」、すなわちビッグデータを活用した社会科学の手法は、人々の生活の質を改善する目的で国連やEUが試験的に運用している。

フェイスブックはリスク評価を怠ったために、自社の市場価値を低下させ、株主に損害を与えたばかりか、キャッシュフローまで危険にさらした(ツイッター上では#deletefacebook「フェイスブックを削除せよ」のハッシュタグ付きの批判のツイートが飛び交っている)。今や政府の規制すら検討されている。

道義的な配慮があと少しでもあれば、事態はここまで悪化しなかったはずだ。ザッカーバーグはフェイスブック上で個人情報を公開したユーザーを「間抜け」呼ばわりした。この発言は今後何年も彼のイメージについて回るだろう。

フェイスブックの共同創設者・元幹部のなかには、フェイスブックが社会を引き裂いた、とんでもないものを世に放ってしまったと、公然と嘆く者もいる。

形ばかりの謝罪

3月10日に行われた米上院の公聴会で、ザッカーバーグは44人の議員に5時間近くにもわたって厳しい質問を浴びせられた。「自分のデータは自分が所有すべき」というのは今や世界の常識の考え方について聞かれても、正面から答えようとしなかった。

一方で、フェイスブックなどのプラットフォームはそこに投稿されたコンテンツに対して責任を負うと遅まきながら認め、ユーザーが可能な限り最善の方法でデータを管理できるようにする「情報受託者」ルールの導入には前向きな姿勢を見せた。

ザッカーバーグの証言後、フェイスブックは厳しい是正措置を免れたとみたのか、市場は公聴会をおおむね好感。同社株は6ドル余り戻した。

しかし多くの議員が、形ばかりの謝罪に深く失望。民主党のリチャード・ブルーメンソール上院議員は、「口だけの謝罪はもう沢山だ。きみはたった1つの倫理違反すら認めようとしなかった」と、ザッカーバーグに怒りをあらわにした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、AIモデル構築に友好国と戦闘データ共有

ワールド

IEEPA根拠の関税、米貿易課題に「最も適切」=U

ビジネス

米商務長官「金利高すぎる」、第1四半期成長率は5%

ワールド

中国副首相、貿易黒字懸念の払拭狙う 「中国は脅威で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 2
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」の写真がSNSで話題に、見分け方「ABCDEルール」とは?
  • 3
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 4
    「耳の中に何かいる...」海で男性の耳に「まさかの生…
  • 5
    「死ぬところだった...」旅行先で現地の子供に「超危…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    トランプが「NATOのアメリカ離れ」を加速させている…
  • 8
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 9
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 10
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 8
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 9
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中