最新記事

アフガニスタン

カブールで自爆テロ、有権者登録所周辺で57人死亡 ISの選挙妨害か 

2018年4月23日(月)18時13分
プリサ・ポール

自爆テロで負傷した少女の枕元で泣く男性(カブール、4月22日) Mohammad Ismail-REUTERS

<今度も、シーア派の少数民族ハザラ人が襲われISが犯行声明を出すパターン。国際社会が求める秋の選挙はとても無理、という見方も>

アフガニスタンの首都カブールの士官学校近くで4月22日の朝、50人以上が死亡する自爆攻撃が起き、IS(イスラム国)が系列のニュースメディア「アマック」上で犯行声明を出した。

アフガニスタン内務省の広報官は米政府の海外向け放送「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」の取材に対し、10月の選挙で投票するのに必要な身分証明書を受け取るために多くの人が順番待ちの列を作る中、犯人は体に巻き付けた爆発物を爆発させたと述べた。事件が起きたのはカブール西部のダシュテバルチという地区で、有権者登録所は士官学校の敷地内に開設されていた。

「私はこの臆病な攻撃の被害に遭った人々のために祈る。公正で透明な選挙への私たちの決意は変わらず、テロリストはアフガニスタン国民の意思に逆らって勝利を収めることはできないだろう」と、アブドラ・アブドラ行政長官はツイッターで事件を非難した。

事件が起きた地域には少数民族ハザラ人が多く住み、その多くがイスラム教シーア派だ。ハザラ人に対してはこれまでも、攻撃が起きてはスンニ派の過激派ISが犯行声明を出すという事件が繰り返されてきた。

タリバンは関与を否定

選挙に反対の勢力と言えばイスラム原理主義勢力タリバンもそうだ。選挙はアメリカが自分たちに都合のいい統治者を権力の座につけるための陰謀だと主張している。だが、タリバンの広報担当者は事件への関与を否定していると、ロイター通信は報じる。

自爆攻撃の犯人は徒歩で現場に近づいたと考えられている。爆発により複数の車が大破したほか、周辺の建物のガラスが割れ、道路には残骸が散らばっていた。

爆発が起きた際に近くにいた男性は「女性や子供もいた。みんな身分証を取りに来ていた」と語った。

(テロ現場のそばに散った多くの書類のなかに、2人の子供の写真が見えた。この子たちまで犠牲になっていませんように。何てひどい生活だ)


アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領は、何度も延期されている下院選を年内に行うよう国際社会から圧力を受けている。選挙を行うには国民の有権者登録が必要だが、多くは政府が発行する身分証をまだ持っていない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EXCLUSIVE-中国BYDの欧州第3工場、スペ

ビジネス

再送-ロシュとリリーのアルツハイマー病診断用血液検

ワールド

仮想通貨が一時、過去最大の暴落 再来に備えたオプシ

ワールド

アルゼンチン中間選挙、米支援でも投資家に最大のリス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃をめぐる大論争に発展
  • 4
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中