最新記事

人工肉

「人肉を培養したら、共食いのタブーを克服できる」ドーキンス博士の発言が物議

2018年3月20日(火)18時30分
松岡由希子

動物から細胞を抽出し、人工培養によって生成する「クリーンミート」が注目されている-Youtube

<人工培養によって生成される「クリーンミート」が注目されているが、「利己的な遺伝子」の著者ドーキンス博士が「共食いへのタブーを克服できる...」とツイートし物議を醸している>

ウシやニワトリなどの動物の筋肉組織から細胞を抽出し、人工培養によって生成される「クリーンミート」は、動物の生命を犠牲にすることなく、一般的な畜産物に比べて環境負荷の低い動物性食品として注目されつつある。

では、このような培養技術を用いてヒトの細胞から"肉"を培養したら、どうなるだろうか----。

ドーキンス博士「人肉培養したら、共食いへのタブーを克服できる...」

「利己的な遺伝子」の著者で、無神論者としても知られる進化生物学者のリチャード・ドーキンス博士は、2018年3月、米クリーンミートの製造メーカー「ジャスト」がクリーンミートの商品を2018年末までに市販化する見込みであることを引き合いに出し、「人肉を培養したらどうなるだろう。これによって、我々は、共食いへのタブーを克服できるのではないだろうか」とツイッターで発言し、物議を醸している。

クリーンミートに対する消費者の反応は、いまだに概ね消極的だ。18歳から70歳までの米国居住者673人を対象とする豪クイーンズランド大学の研究プロジェクトによると、対象者の3分の2が「クリーンミートを食べてみたい」と回答したものの、「従来の食用肉の代わりにクリーンミートを定期的に食べたい」と答えたのは3分の1にとどまった。

Clean Meat: A Vision of the Future

クリーンミートの普及に対する課題として、美味しさや魅力の乏しさ、価格の高さ、健康や安全性への懸念などが挙げられている。とりわけ、価格に対する評価は厳しく、「従来の食用肉より価格が高くてもクリーンミートを食べる」と回答したのは、わずか16%であった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 8
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中