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中国でも森友決裁文書改ざんを大きく報道

2018年3月14日(水)12時55分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

3月5日から報道開始

筆者が知っている限りにおいては、CCTVは3月5日から森友決裁文書改ざんを報じている。3月5日と言えば、中国歴史上の大きな分岐点となる全人代が開幕した日だ。それでも扱うのは、2017年3月20日の本コラム「中国、森友学園問題をトップニュース扱い!」でも触れたように、中国は安倍政権が倒れるのを希望しているからだ。その原因は中国が安倍政権を「軍国主義に向かおうとしている」と非難したいからである。非難の対象があった方が反日戦略により求心力を高めることができるので都合いいのではないかと思われるが、それでも非難の継続をすることを、先ずは短期的目標としているせいだろう。

その証拠に3月3日付の環球時報は「いいだろう!安倍は承認した、中国は準備を整えよう」として、日本の海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」に関して報じている。CCTVもお昼の国際ニュースで報じた。

それを受ける形で、3月5日付の環球時報は「日本財務省森友決裁文書書き換え疑惑 安倍政権責任を問われる」を掲載。決裁文書改ざん報道の幕を切った。

3月5日のCCTVのリンク先「日本森友学園スキャンダル再燃 日本財務省国有地払下げ文書を改ざん」も、ご参考までにお知らせする(アクセスできるか否かは保証できない)。

また3月7日付の新華網も「森友学園決裁文書書き換え 日本政府答弁を回避」というタイトルで同問題を報道している。ここでは朝日新聞が3月2日に疑義報道をしたことから始まった一連の動きを詳述している。

日本留学の中国人留学生は

中国におけるネットユーザーのコメントは全て削除されているので、念のため日本に留学している中国人留学生たちに取材してみた。日本のアニメや漫画に憧れて来日したこの留学生たちは、同時に日本の民主主義体制にも深い興味を持っていた。しかし、森友問題の推移を見て、激しい失望を吐露している。

以下は取材した回答の概要だ。

 ――日本のアニメや漫画が大好きで留学先に日本を選びました。こんな素晴らしいサブカルチャーを生み出すことができる日本という国は、どのような政治を推進しているのだろうという興味もあったのです。中国も早く、こういう文化を生み出せる国になって欲しいという、憧れの気持もありました。

でも、こんなモリトモ問題とかカケ問題など、結局「一強への忖度」で動いているのを見ると、中国と大して変わらないと感じるようになりました。特に今般の決裁文書改ざんに対する財務大臣や政府側の弁明を見ると、「こんな小学生でも分かるような見え見えの自己弁護をするなんて、これで日本国民を騙せると思っているのか」と呆気にとられます。結局、部下のせいにして自分たちの責任を逃れるつもりでしょう。

これが民主主義だとすると、果たして民主主義がいいのかという疑問さえ、抱かずにはいられません。中国と大差ないんじゃないですか?来日して学んだのは、「民主主義って、そんなに良いものじゃない」ということになったのは、非常に残念です。私たちの希望を砕きました。


endo-progile.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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