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未来の人類は遺伝子変異で酒が飲めなくなる?

2018年3月12日(月)17時00分
デーナ・ダビー

過去の研究でも、ADH変異体を持つアフリカ系アメリカ人はアルコール依存症になるリスクが「わずかだが一貫して低かった」と、ボイトは指摘する。つまりこの変異体は、アルコール依存症に対する人体の防御メカニズムなのかもしれない。

現時点ではADH変異体の出現は散発的で、東アジアと西アフリカの集団だけに見つかっている。人間の健康や生活様式の重要な変化も今のところ観察されていない。

しかも、ADH変異体だけでアルコール依存症が予防できるわけではないと、ボイトはクギを刺す。「ある個人のアルコール依存症のリスクには遺伝的背景、環境、行動が関係している。従ってADH変異体の影響については、それ以上に影響するかもしれない他のさまざまな要因も考慮に入れて検討すべきだ」

むしろこの研究が示唆するのは、遺伝子が世界中の異なる集団間で同じように変化する可能性と、その理由が環境の変化に適応しやすくなるためである可能性だ。酒に溺れる人間はいずれ淘汰されてしまうかも。

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[2018年3月13日号掲載]

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