最新記事

貿易交渉

米韓FTA再交渉が妥結 韓国の通貨安誘導阻止や自動車・製薬分野の譲歩

2018年3月28日(水)14時15分

3月27日、米国政府は、韓国との自由貿易協定(KORUS)見直しについて、韓国政府による競争的通貨切り下げを阻止する付属文書を追加するほか、韓国が自動車や製薬分野で譲歩することで合意したと明らかにした。写真は米ドル紙幣と韓国ウォン紙幣。ソウルで2015年12月撮影(2018年 ロイター/Kim Hong-Ji)

米国政府は27日、韓国との自由貿易協定(KORUS)の再交渉が妥結したと発表した。韓国政府による競争的通貨切り下げを阻止する付属文書を追加するほか、韓国が自動車や製薬分野で譲歩することでも合意した。

米政府当局者らによると、見直し合意には、韓国政府が26日に説明した通り、韓国製ピックアップトラックに米国が課す関税の撤廃期限の20年延長や米安全基準を満たした米国製自動車の韓国による輸入上限の引き上げが含まれる。

付属文書は、韓国に為替介入の透明性向上を義務付け、競争的目的でのウォン安誘導の回避を約束させる内容となる。

為替に関する合意は、制裁措置の対象とはならず拘束力がない付属文書の扱いとなる。米財務省と韓国の企画財政省は引き続き詳細について交渉を行っている。

環太平洋連携協定(TPP)にも為替操作に関する拘束力のない同様の条項が盛り込まれたため、米議会では民主党を中心とする多くの議員が反対した。

韓国の企画財政省高官は、為替政策の透明性向上は、為替相場安定に向けた当局の介入規模を公表することを意味すると説明した上で、韓国はそろそろ為替介入の詳細公表を検討すべき時だとの見方を示した。

韓国中銀は、ウォンのドルに対する大幅な値動きを抑制するために為替相場でたびたび介入を行っているもようだが、介入規模は公表されていない。介入は過度の相場変動抑制という目的のためだけに実施していると韓国は説明しているが、輸出競争力を高めるために通貨価値を引き下げているとの批判も出ている。

米政府当局者らによると、韓国はまた、国内の製薬会社を優遇する公的健康保険制度の改定にも合意した。これにより、米製薬会社にとって公平な競争環境が整う。

[ワシントン/ソウル 27日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 豪ワーホリ残酷物語
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月9日号(9月2日発売)は「豪ワーホリ残酷物語」特集。円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代――オーストラリアで搾取される若者のリアル

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:雇用激減するメキシコ国境の町、トランプ関

ビジネス

米国株式市場=小幅安、景気先行き懸念が重し 利下げ

ビジネス

NY外為市場=ドル対主要通貨で下落、軟調な雇用統計

ワールド

米国防総省、「戦争省」に改名へ トランプ氏が大統領
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習慣とは?
  • 3
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 4
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 5
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 6
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 7
    「ディズニー映画そのまま...」まさかの動物の友情を…
  • 8
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 9
    謎のセレブ中国人ヤン・ランランの正体は「天竜人」?
  • 10
    キリストを包んだとされる「聖骸布」はやはり偽物だ…
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 4
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 5
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 6
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 7
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 8
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 9
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 7
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 10
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中