最新記事

中国

習近平はなぜ平昌五輪に出席しないのか?――中国政府関係者を直撃取材

2018年2月12日(月)10時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

以下、Qは筆者で、Aは中国政府関係者である。( )内は筆者の説明。

Q:習近平国家主席は、平昌冬季五輪の開幕式に出席しませんでしたし、閉幕式にも出席しないようですが、それはなぜですか?

A:中韓の関係はギクシャクしていて、うまく行ってないからだ。

Q:それは主として、どのことが原因ですか?

A:いうまでもなく、サード(THAAD、終末高高度防衛ミサイル)の韓国配備の問題があるからだ。

Q:そのために、去年の10月末に「三不一限」という中韓合意文書を出して韓国に圧力をかけたのではなかったのですか?

(三不一限とは、「米国のミサイル防衛体制に加わらない。日米韓協力を三カ国軍事同盟に発展させない。 THAADの追加配備は検討しない」の三つの「不(~ない。ノー)」と「現有のTHAADシステムの使用に関して、中国の戦略的安全性の利益を損なわないよう、制限を設ける」を指す。)

A:たしかにそうだが、韓国は何も守りはしない。結局、アメリカの顔色を窺って怯えている。日本に対してだけはやや強気だが、アメリカには、いやいやながらも、ひれ伏している。結局、五輪が終わったら、また米韓合同軍事演習を再開するというアメリカの要求を断りきれないでいる。安倍(首相)が文在寅と会談した際(9日、平昌で)「米韓合同軍事演習を延期すべきではない」と主張したのに対し、文在寅が「わが国の主権の問題だ」と突っぱねたのは評価できるが、それ以外は文在寅はアメリカの顔色を窺い、今度は金正恩の顔色を窺っている。信用できない。

Q:南北会話が進むことは、中国としては歓迎しているのではないんですか?

A:そりゃあ、もちろん、中国は早くから対話による解決を求めてきた。だから対話に進むことは歓迎している。しかし今の状況、あれは何だい?文在寅はまるで北にさらわれてしまったようなあり様じゃないか!

Q:北朝鮮側は五輪参加のあと南北首脳会談に持ち込もうとしていますね。

A:五輪参加まではいい。北朝鮮は南北対話により米韓合同軍事演習を阻止しようとしているところまでは、まだ理解できる。しかし北朝鮮の狙いは、米韓の離間を通して国連制裁を骨抜きにしようとしているだけでなく、北朝鮮問題を南北朝鮮の二国間だけで解決しようとしていることにある。(中国を含む)六カ国会談から離脱しようとしていることが問題なのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアとベラルーシ、戦術核の発射予行演習=ルカシェ

ビジネス

株式6・債券2・金2が最適資産運用戦略=モルガンS

ワールド

米FOMC開始、ミラン・クック両理事も出席

ビジネス

米ホリデー商戦、オンライン売上高2.1%増に減速へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがまさかの「お仕置き」!
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが.…
  • 8
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 9
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中