最新記事

米軍

北朝鮮と戦う米軍兵士は地獄を見る

2018年1月26日(金)14時50分
トム・オコナー

北朝鮮の軍事力は米軍に及ばないが、戦闘は予想通りには進まない KCNA-REUTERS

<北朝鮮との戦闘は米軍がこれまでに経験したことのない困難な戦いになる――米海兵隊の総司令官が、兵士たちに人間離れした強さを求めた>

アメリカが北朝鮮と実際に戦争に突入すれば、「困難な戦いになる」と米海兵隊トップが語った。

ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)で25日に講演したロバート・ネラー米海兵隊総司令官は、米軍はすでに北朝鮮軍との武力衝突に向けて準備を進めていると語った。北朝鮮は昨年、アメリカ本土に到達するICBMの発射実験に成功したと発表し、金正恩朝鮮労働党委員長が核兵器の保有国であると宣言した。それとの軍事衝突は、米軍がかつて経験したこともない困難な戦闘になると力説した。

「人間離れしたスタミナと身体能力、暴力的な攻撃力が必要とされる非常に厳しい戦場もあるだろう。それに対して全員が、精神的な備えをしておかなければならない」と、ネラーはCNNに語った。

「米軍兵士の訓練の際には、常に頭の隅に入れておかなければならない。身体的、精神的に完璧に準備し、鋼の精神を持ち、これまでの人生では味わったことのないような危険な戦闘に備えなければならない。総司令官のポストにいる限り、それを言い続けるのが私の使命だ」

圧力と対話が一進一退

50年代の朝鮮戦争以来、アメリカと北朝鮮は非難の応酬を繰り返してきたが、昨年北朝鮮が、米本土まで到達可能とされる新型ICBM「火星15」の発射実験と水爆実験に成功したと宣言したことで、一段と緊張が高まっている。

北朝鮮の歴代の最高指導者の例にならって、金正恩は米軍が侵攻して政権転覆を図る事態への抑止力として核兵器の開発を目指してきた。

米軍は太平洋での海軍力を強化し、同盟国である日本と韓国との合同演習の実施を増やすことでこれに対抗してきた。また最近ではドナルド・トランプ米大統領と金正恩が、ツイッターなどを通じて個人的な中傷や核攻撃をにおわせる恫喝の応酬を繰り広げ、今にも軍事衝突に発展しかねない緊張が走った。

1月9日に北朝鮮と韓国の間の南北会談が再開されたことで、米朝間の非難の応酬もいったんは収まっている。しかし朝鮮戦争時の国連軍参加国の外相らが参加して15日にバンクーバーで開催された会合には北朝鮮はもちろん中国、ロシアも参加しておらず、北朝鮮・朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は、継続中の南北会談を妨害する意図があると非難した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国軍、台湾周辺で実弾射撃伴う演習開始 港湾など封

ビジネス

韓国クーパン、顧客情報大量流出で11.8億ドルの補

ワールド

尹前大統領の妻、金品見返りに国政介入 韓国特別検が

ビジネス

日経平均は反落、需給面での売りが重し 次第にもみ合
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    アメリカで肥満は減ったのに、なぜ糖尿病は増えてい…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中