最新記事

日本経済

日銀、政策現状維持 黒田総裁「好景気だからと利上げする考えない」

2017年12月21日(木)18時40分

12月21日、日銀は21日の金融政策決定会合で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度とする操作目標の維持を賛成8、反対1の賛成多数で決めた。政策維持に片岡剛士審議委員が引き続き反対した。写真は都内で撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

日銀は21日の金融政策決定会合で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度とする操作目標の維持を賛成8、反対1の賛成多数で決めた。政策維持に片岡剛士審議委員が引き続き反対した。

黒田東彦総裁は記者会見で、現行のイールドカーブの形状について「適切」と指摘し「変える必要があると思っていない」と述べた。「景気がいいからそろそろ金利を上げるという考えはない」とも明言。市場では日銀が長期金利目標を切り上げるとの観測が後退したと受け止められている。

片岡委員が緩和強化提案

会合の声明文では景気の総括が判断を「緩やかに拡大している」に維持。個人消費と設備投資の判断を上方修正する一方、公共投資の判断を引き下げた。

片岡委員が政策維持に反対票を投じるのは、今年7月に就任して以降、3回連続。同委員は反対理由として「消費税増税や米国景気後退などのリスク要因を考慮すると、2018年度中に物価安定の目標を達成することが望ましい」とし、政策対応として「10年以上の国債金利を幅広く引き下げるよう、長期国債の買い入れを行うことが適当」とした。

10月の前回会合では「イールドカーブにおける、より長期の金利を引き下げる」観点から、「15年物国債金利が0.2%未満で推移するよう、長期国債の買い入れを行うことが適当」としていた。

また、前回会合と同様に「オーバーシュート型コミットメント」の強化も主張。決定会合後に公表する声明文に「国内要因により、物価安定の目標の達成時期が後ずれする場合には、追加緩和手段を講じることが適当」と記述することを求めた。

「政策見直し必要でない」と黒田総裁

会見で黒田総裁は11月の講演で、過度の金利低下が金融引き締めの逆効果をもたらす「リバーサルレート」について触れたが、「リバーサルレートに言及したからといって、政策の見直しが必要ということではない」とし、現行のイールドカーブの形状が適切と強調した。

米国の長期金利が緩やかな低下傾向にあることについて、「米市場関係者の短期金利の見方を延長すれば、長期金利もそれほど上がらないというのが米市場の見方」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット

ビジネス

アングル:トランプ関税が生んだ新潮流、中国企業がベ

ワールド

アングル:米国などからトップ研究者誘致へ、カナダが

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、方向感欠く取引 来週の日銀
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 8
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 9
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中