最新記事

テキサス銃乱射事件に便乗する「陰謀論」 右派はトーク画面偽造

2017年11月6日(月)19時35分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

極右ライターは偽造のトーク画面をツイート

9.11同時多発攻撃は内部関係者の犯行と主張するなど、これまでもアメリカ政府の陰謀説を説いてきた右派のアレックス・ジョーンズは、運営するウェブサイト「インフォウォーズ」で、ラスベガスの事件はトランプ支持層とされる白人を狙った「アンチファ(極左勢力、反ファシズムを意味する)による陰謀」と主張していた。

サザーランドスプリングスの事件発生後も同じようなことが起きた。本誌のマイケル・エディソン・ヘイデンは、これこそが白人ナショナリズムの右翼運動「オルト・ライト(オルタナ右翼)」の陰謀だと指摘している。

サザーランドスプリングスの教会で銃撃が起こったとき、警察はケリーの犯行動機を直ちに発表しなかった。しかし、保守系評論家(自称アメリカの民族主義者)のマイク・セルノビッチは、事件の報道直後に犯人の動機について言及していた。「銃乱射事件のあったサザーランドスプリングスの住民の多くが白人だ。アンチファによるテロ攻撃か?」

セルノビッチはこれに拍車をかける。犯人のケリーやアンチファのシンボルマーク、銃の写真だけを引用して「テキサス乱射事件の犯人のプロフィールと一致している」「これはますますアンチファのテロ攻撃だと思わせられる」と投稿した。

他の右派たちも動いた。右派ライターのジャック・ポソビエクは、ニュースサイト「It's Going Down(IGDニュース)」がサザーランドスプリングスの銃乱射事件を扇動するメッセージを発信したように見えるトーク画面のスクリーンショットを投稿した。「アンチファがサザーランドスプリングスの襲撃を企てている」というメッセージまでご丁寧に添えられた。

本誌米国版はIGDニュースの広報に事実確認を行った。すると、ポソビエクのツイートに添付されたトーク画面は全くの偽物で、何者かによって作られたものだった。

同広報は、「ポソビエクは、社会を攻撃して理想の政治体制を推し進めようとする一方で、自身の名声をとどろかせるのが目的」と指摘。人々がこういった欺瞞に満ちた発言の意図が何たるかを認識し、それをしっかりと否定することが不可欠だと語った。


【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!

ご登録(無料)はこちらから=>>


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

メキシコ、米との交渉期限「数週間延長」 懸案解決に

ビジネス

米クアルコム、データセンター向けAIチップ発表 株

ワールド

ロシア、ウクライナ東部で攻勢 ドネツク州の要衝ポク

ワールド

米副大統領、来月ケニア訪問の予定 南アG20出席後
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 3
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下になっていた...「脳が壊れた」説に専門家の見解は?
  • 4
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    中国のレアアース輸出規制の発動控え、大慌てになっ…
  • 7
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 8
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    「死んだゴキブリの上に...」新居に引っ越してきた住…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中