最新記事

北朝鮮情勢

【北朝鮮情勢】アラスカはICBM迎撃態勢を整えた

2017年11月9日(木)16時45分
グレッグ・プライス

アラスカで今年7月に行われたミサイル迎撃実験 Courtesy Leah Garton/Missile Defense AgencyREUTERS

<北朝鮮のミサイルの射程圏内に入ったと言われるアラスカ州が、最強のミサイル防衛システム44基の配備を完了した>

米国防総省ミサイル防衛局(MDA)は11月2日、アラスカ州のフォートグリーリー基地に、地上配備型ミッドコース防衛(GMD)システム44基の配備を完了した。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長からのミサイル攻撃に備えた動きだ。

核攻撃やアメリカとの戦争も辞さないと威嚇する金に対し、ドナルド・トランプ米大統領は北朝鮮に対する武力行使の可能性もある、と応戦してきた。

GMDは、トランプがアジア歴訪に出発するのとほぼ同時に配備を完了した。訪問の焦点は、北朝鮮の核・ミサイル開発と威嚇への対応策で中国などと合意することだ。

「MDAとボーイング社は、アラスカ州のフォートグリーリー基地のミサイル格納庫に44基目のGMDを配備、すべての配備を完了した」と、MDAは米軍事専門紙ディフェンス・ニュースの取材で明らかにした。

今後、追加のGMDが配備される可能性もある。米国防総省は9月、GMDを64基に増やすため、2017年会計年度の国防予算で1億3600万ドルの追加予算を要求した。

トランプと金の挑発合戦がエスカレートした8月以降、アラスカ州は、北朝鮮のミサイル攻撃の標的になりかねないと懸念を表明していた。

ICBMの迎撃に初めて成功

金正恩は、米本土にミサイルを撃ち込むと繰り返し発言するなど、アメリカを脅迫。攻撃対象として米領グアム島を名指しし、ハワイ州やアラスカ州も射程圏内だと主張してきた。

北朝鮮が保有する核兵器の正確な数は不明だが、日米韓などの当局はすでに十数個の核爆弾を保有していると分析している。

「北朝鮮による核攻撃を恐れて逃げた住民はまだいない」と、アラスカ州のビル・ウォーカー知事は米ABCニュースに語った。「だが最悪の事態に備え、ミサイル防衛体制を整えて警戒する必要がある」

GMDは、中~長距離の弾道ミサイルを大気圏外で迎撃するミサイル防衛システムだ。弾頭にあたる大気圏外迎撃体(EKV)が、飛んでくる弾道ミサイルに体当たりする。

米軍が5月に実施した迎撃実験で、初めてICBMの撃墜に成功したのがこのGMD。西大西洋マーシャル諸島から打ち上げたICBMを、約8000キロ離れたカリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地から撃ち落とした。「見事な成果」とMDAは評価している。

(翻訳:河原里香)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

セブン&アイ、米コンビニ事業の上場は最短で27年度

ビジネス

日経平均は5日ぶり反落、中東情勢の不透明感を改めて

ビジネス

ファーストリテ、通期予想を上方修正 純利益10.9

ビジネス

みずほ銀、長プラを年3.00%に引き上げ 97年5
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 3
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 4
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 5
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 6
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 9
    キッチンスポンジ使用の思いがけない環境負荷...マイ…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 9
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 10
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中